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11月3館目:太陽の塔

順番が後先になりますが、近いところから書くことにしました。
この週末、大阪~兵庫~岡山県を横断してきました。目的は神戸でイッサーリスが出るコンサートを聴くことだったので、神戸空港まで飛行機で往復すればいいのかな?と考えてました。しかしコンサートの前にどこか寄り道先を考えて、伊丹に行けば太陽の塔に行ける!とさっそく入館券を予約。思ったより遅い時間の飛行機しか取れず、今回も駆け足で内部見学だけをする感じで行くことになってしまった。いつになったらみんぱく(国立民族学博物館)に行けるんだろう…。
万博公園駅に着くと、雨の予報だったにもかかわらず早めに天気が回復して太陽がギラギラと照りつけ、遠くで太陽の塔が輝いているのが見えた!おお!前回は曇天だったのでこの光景を観られなかったのだ。そして、2度目だけれど観た瞬間にやっぱり心臓がドキンとする。体の深いところが反応する感じ。そして写真ではどんなに拡大しても伝わらないなにものかが、まだまだ遠く離れた駅前からの距離でもグオングオン伝わってくる。50年近くたっても全然衰えていないのだ。
飛行機がちょっと遅れて時間ギリギリだったので外観の写真は後回しにして小走りで塔に向かう。以前よりも塔の周りに人が多い。塔の裏から地下に入っていくとそこがチケット売り場。チケットを買ってまずは地底の太陽ゾーンで展示を観ながら時間まで待機することになります。入口から続く通路に、太郎が最初に万博のモニュメントの構想を始めた6月(多分69年か68年が記録忘れ)の日付入りデッサンの複製が展示されていて、これは必見です。少しずつ太陽の塔の形が表れ始めるのが7月、8月くらいだったかな。最終的に9月の日付で今の太陽の塔の形になるのですが、時期を追うごとに鉛筆の線が炎のように揺らめきながらだんだんとあの形が表れてくる様で当時の息吹のようなものを感じました。すべてを観終わった後、実はあのデッサンの複製が一番印象に残ったかもしれない。
地底の太陽は複製ながら迫力十分でした。周囲にはアフリカ・アジア・オセアニアを中心としたものだと思うのですが、呪術的な印象の仮面や人型の像などが並んでいます。それらは皆古いもののはずなのですが、やはり太陽の塔と同じく衰えないパワーを感じられるものでした。うーん、みんぱく行きたい。
予約時間となり、いよいよ復元された生命の木ゾーンに。16人程度までのグループで入場し、案内の女性が各フロアに待機していて、一定の時間区切ってそのフロアから見える模型類を鑑賞する、という方式で頂上まで登って行きました。テレビで紹介されていたけれど、この模型類は多くが失われており、新たに復元したもの、残っていたものに関しては痛んだ状態のまま、もしくは補修して展示されているとのことでした。説明によると万博当時にはこの模型たちが動いていたそうなのですが、現在は動く模型は1体もありません。また、万博当時は1000体もの模型があったそうですが、今回はすべては復元していないとのこと。

結論から言うと、現在の展示は少々すっきりときれいにまとまりすぎてしまっているのではないか?という印象を受けました。今でも私が知らないあの70年の万博で溜めた熱を少しずつ発し続けているような外側に対し、内部がどうしても綺麗すぎる感じがしたのです。想像でしかないのだけれど、高度経済成長が頂点に達しようとしていたあの時代に岡本太郎が投じたマグマの塊たる太陽の塔の内部、を現代に再現するのは難しかったのかなあ。

展示の要所要所には万博当時のままの案内板が残っており、そこに太郎の魂が宿っている1枚を見つけました。頂上にあった太陽讃歌のような言葉。メモしてこなかったのでここにそっくり書くことはできないのですが、アメーバからつづく生物の進化は太陽の光なくしてはなしえなかったこと、そして人類は太陽を称えて世界各地で祭りを行う、というようなことが書いてありました。この太郎の言葉で生命の木の展示は締めくくられ、万博当時の観客は塔の腕を伝うエスカレーターに乗って、大屋根の未来の展示へと向かったそうです。そこには輝かしい夢の未来だけでなく、核戦争のような不穏な未来をも予見されていたとの解説がありました。この万博の翌年には福島の原子力発電所が稼働し始めたのです。

岡本太郎というと情熱とか爆発とか陽のエネルギーの人という印象があるけれど、著作から感じられる静かに冷めた視線、陰のエネルギーが作品にもちゃんと潜んでいることを再認識しました。
そうした感慨を持ってもう一度外観を見ると、背中側の黒い顔の意味がはっきりと感じ取れる気がしました。過去を表わすというこの顔は、大地と未来をつなぐものであり、生命の木がどんなに太陽に向かって枝を伸ばし神の領域に近づこうとしても、未来を表す金の顔が胴体からどんなに首を伸ばしても、その根は絶対にこの大地から離れない。いつも過去がそこにつなぎとめている。それを太陽の裏側で見つめている月のようでもある。

内部の観賞は今回の一度でよいけれど、外観はこの先何度でも見に行きたい。あれは一体何なのだろう。万博の翌年に生まれた私は、あれがどうしても自分とどこかでつながっているような気がしてしまうのです。

# by fumiko212 | 2018-11-11 21:23 | アート | Trackback | Comments(0)

10月6館目:小原古邨展/茅ヶ崎市美術館

日曜美術館で知った小原古邨。明治期の多色刷り木版の絵師、と言ってしまっていいのかな。番組では、海外での評価が高く、制作が追い付かないほどの注文があり、木版画に転向したと紹介されていました。よく知っている大判の浮世絵よりも少しスリムな版画作品は、ほとんどすべてが花鳥画で、植物の静と鳥・虫・小動物の動とがせめぎ合った一瞬を切り取った構図が、透明感のある色彩と細密な線で表現されていました。作品は、季節を少しずつ進みながら大量に展示されていましたが、観ていて全然疲れない。1枚1枚が清々しい空気感を持っていたからかなあ。虫メガネ片手にじっくりとみてきました。
鳥がいろんな角度から描かれていて、確かにこの角度から見るとこう見えるんだろうけど、鳥がその角度で静止しているはずもなく、古邨は一体どんな眼を持って、この一瞬を写し取っていたのだろう、、、と驚嘆するばかりです。子供のころから鍛練して獲得できるものなのか、生まれ持ってそういう眼を持っている者が画家になれるのか。やっぱり運動神経と同じで、観たものを脳に焼き付ける能力にたけている人なんだろうなあ。
そして、木版画の彫りと摺りの精密さも、同じように特別な技ですよね。いったいどんな彫刻刀を使えばこんなものが彫れるのか?日曜美術館で、1枚の作品を仕上げるのに21版使うと言っていたかな?現代の摺り師が、発見された当時の版を使って再現していたけれど、微妙な諧調を摺り分けながら、作品に奥行きを持たせていく様子はすごかった。1枚の小さな花びらにいったい何版使っているんだろう?と考えると気が遠くなる。
作品を観るときに、ついつい、技術の凄さを想像して、唸ってしまうんだけど、やはりなんといってもその画面の一瞬の美しさに魅了されました。途中展示替えがあったそうなので、もう少し近ければ、何度も通いたくなってしまっただろうな。
古邨の作品がこれだけ大々的にまとめて展示されるのは、国内で初めてのことだったそうで、ぜひまたみられる機会があると良いな~。

# by fumiko212 | 2018-10-31 23:57 | アート | Trackback | Comments(0)

10月5館目:郷さくら美術館

一つ前にアップした近代美術館の帰りに、中目黒の郷さくら美術館にぐるっとパスで寄りました。現代日本画(といっても30年くらい前の作品とかもあったと記憶)の美術館でした。

現代日本画といっても、最近よく見るような(気がする)墨だけで表現したものとか、漫画やゲームからインスピレーションを得たようなものとかではなかったです。家庭画報みたいな感じのです。子供が日本画を専攻すると親は大変!(画材が高価で)という話を聞いたことがあるのですが、それがすごくわかった。全体的にビカビカキラキラでした。それと近美で横山操と一緒に展示されていた加藤又造の作品があったのですが、近美にあったのとは趣が全然違ったので、もしかしたら別の人?よくわかりません。

美術館というよりはギャラリーぽい雰囲気でしたが、あくまでも美術館のようでした。きれいだなーとは思ったけど疲れていたのもあり特別印象に残ったものは今となってはもう思い出せない、、、

# by fumiko212 | 2018-10-31 23:38 | アート | Trackback | Comments(0)

10月4館目:東京国立近代美術館

ぐるっとパス月間なので、前々から行こうと思っていた近美の常設を見に行きました。ひとつ前の住友の美術館からのハシゴです。近美は新美術館が出来てから、あまり見たい企画展をやらなくなったので、常設も全然見なくなってしまった。もしかしたら10年とかぶりだったかもしれない、、、
常設は4階から見るようになっていて、最初にハイライトの部屋があります。その1点目が、なんと菱田春草の作品でした。何という偶然!住友の美術館では1枚目から見る気力がわかなかったのに、こっちは1枚目ですごいやる気が出た。あ、そうそう、春草と言えば大観とともに朦朧体に取り組んだ画家なんだそうです。さっきのエントリに描くのを忘れましたが、あの展覧会には春草以外にも朦朧体の人たちの作品がたくさん出ていたのですが(大観はなかった)、他の人たちの朦朧体はイマイチだなと思ったんです。というのが、その人たちの朦朧体の表現て、浮世絵版画の背景を拙くした感じに見えたから。でも春草のは3作品あって、それぞれが違う表現だけれど輪郭線をなくすことに成功していて、そこもまたよかったんですよ。で、近美に展示されていたのは美しい女性たちの描かれた屏風だったのですが、着物の輪郭線は描かれておらず、さっき見た3作品とはまた違う表現なのにこれもまた成功してる。今年は大観の企画展があったから、来年あたり春草の企画展があると良いな~。まとめていろいろ見たくなりました。

この部屋にはルソーのアンデパンダン展の作品も出ていました。久々に観られてうれしかった。

ハイライトの部屋が終わると時代の流れに沿って所蔵品の展示が始まります。絵画が中心だけれど、日本画と洋画、海外の作家の作品もすべてごちゃまぜ、写真、立体、映像、インスタレーションなど、表現もごちゃまぜ、だけど時代順、という展示、面白かった。

この日は菱田春草との出会いがあって、すでに大満足していたのですが、もう一人新たな画家と出会いました。(出会いとは、この人の作品もっと見たい!と思ったという意味)横山操という日本画の画家。一応、日本画の画家、でいいと思うのですが、オイルパステル、油絵も展示されていました。ミニ特集程度に作品と資料が10点近くあったでしょうか。アメリカを旅しながら描いた作品が何点かあり、その中に縦長の巨大な作品、「ウォール街」がありました。モノクロで描かれた林立する高層ビル、そのビルに切り取られた細いV字型の青空、ビルに反射した夕日なのか一部だけ赤く塗られたビルの尖塔。その3色の配分が絶妙にちょうどいい!それぞれがそれぞれを引き立てあっている。もう、絶対見てほしい。ウィキペディアによると代表作とのことなので、詳しい方は知っているかもしれないけれど、見たことない方はググってみてください。めちゃめちゃかっこいい作品です。で、これがあくまでも日本画の画材で描かれているのです。支持体は紙(多分和紙?)。すごい。
同じくらいのサイズの焼け落ちた五重塔を描いた作品もすごかったです。コンテか木炭で描いたイーストリバーから見た摩天楼のスケッチも素敵でした。いやもう、もっとこの人の作品を観たい。実は、横山操の名は少し前に日曜美術館のアートシーンで見て気になっていたんです。遺品などを展示した企画展の紹介でした。確かぐるっとパスに入っていた三鷹の美術館だったので、これは行くべし!と思ったのですが、なんと17日で終わってしまっていました。残念すぎる~。だってチケットを持っていたんですから(ぐるっとパスのこと)。知らないってこういうことなんだな~。そういえばオイルパステルの作品があったから、もしかしたら8月のクレパス展で見てたのかも?色々な後悔がよぎりました。

このミニコーナーに横山操と一緒に展示されていた加山又造という人の作品もなかなか良かったです。「月と犀」という作品。ルソーの「眠れるジプシー」を彷彿とさせる構図の作品で、これもすごく印象に残りました。

他にはなんとエレベーターホールに展示されていた、舟越保武の「原の城」。先日笠間の彫刻庭園にもあった作品だと思うのですが、あの時は少し離れたところから見たのと、同じ庭園にあったそのほかの作品とのギャップでなんだかよくわかっていなかったのですが、間近に見たらすごい作品だと理解できました。開いた目と口の空洞がこんなに訴えてくるとは、、、声にならない叫びが聞こえ、目には見えない絶望が見えた、と言えばいいのか。。。すごい。この間、全然わかってなくてごめんなさい。
隣には柳原義達の姿はかっこいいのに顔に愛嬌のある鴉のブロンズ(タイトル忘れたので検索したら多分「風の中の鴉」という作品)。世田美の地下のエレベーター横に「バルザックのモデルたりし男」という作品があるのですが、それもそんな雰囲気があって、ああ、私この人の作品好きなんだなと改めて感じました。

結構な作品数を観たのだけれど、最後まで飽きることなく楽しめる、いい展示でした。展示替えごとに来られるようにしようと思います。もらってきたチラシを見ると、毎月第1日曜は無料なのですよ!そうでなくても500円です。所蔵品は13000点あるということなので、永遠に楽しめそうです。(ちなみに世田美の所蔵品数は16000点なので、それより少ないのか!という驚きもあった。)

それから、解説ボランティア募集のチラシを見つけました。美術館のボランティアをやってみたいなと思った時に、最初に見つけたのがこの美術館のボランティア募集のHPでした。すでに応募期間が過ぎていて、次の予定も出ていないし不定期採用なのねって思ていたら、今まさに募集中だったのです。書類選考と面接、その後講座を受けてレポート提出をして、やっとボランティアになれると書いてあります。世田美の学芸員さんに伺った話では、世田美のように申込書を書けばその日からボランティアができる美術館の方が珍しいそうです。もちろん世田美でも企画展やコレクション展が始まるタイミングで担当の学芸員さんによるレクチャーを受けるのですが、その知識を子供たちに必ず話さなければならないという決まりはありません。世田美の学芸員さんいわく、うちのボランティアは美術館にとって都合のいい人を選ぶのではなく、美術館にどんどん意見を言ってくれる人に来てほしいから選考はしない、とのこと。位置づけとしては、スタッフの下で働く人ではなく、最も頻繁に来館する美術館のヘビーユーザーたるお客さん、なのだそうです。だからボランティアが楽しめるのかも。

そういえば、今度の東京オリンピックのボランティアはやりがい搾取だとか一部ネットで言われているようですが、特に文化ボランティアやスポーツボランティアに限って言えば、お客さんとして一番深くそこにかかわれるアクティビティだと言っても語弊はないと思ってるんだけど。。。東京マラソンだったら、もちろん走れるのが一番楽しいけど、その次に楽しめるのがボランティアかなあと思ってます。沿道で応援するのと同じくらいかそれよりももうちょっと楽しくて、もうちょっと深くランナーとコミュニケーションできる。確かにランナーの中には感じ悪い人もいるけど(わからなかったりして聞いてきますみたいなことになると舌打ちする人とかいるんです。ボランティアとわかってて(ジャケットにボランティアと書いてある)おおらかに待ってくれる人の方がずっと多いですが)、バイトでやってたら、そういう時、30倍くらいストレスを感じると思う。

話がそれた。

久々に行った近美がいろいろ良かったという話でした。

# by fumiko212 | 2018-10-21 22:30 | アート | Trackback | Comments(0)

10月3館目:狩野芳崖と四天王/泉屋博古館分館

パナソニックミュージアムでこの展覧会のチラシを見つけました。つい最近、明治以降の日本画の画材についてのお話を聞いて、その時の講師の先生が学生時代に研究対象とされていたという狩野芳崖の仁王捉鬼図、そしてその芳崖の絶筆、悲母観音が同時に展示されるというので、さっそく見に行ったのです。

仁王捉鬼図は明治以降入ってきた化学顔料をふんだんに使った極彩色の作品で、それを知って見るからますます仁王の赤と背後を取り巻く緑の雲?がこの日に展示されていたどの作品とも違って見えました。隣に悲母観音があって、こちらのほうがサイズはずっと大きいし全体が金粉で覆われているのだけれど、画面から受ける強烈な印象は仁王捉鬼図の方が強いかもしれない。

悲母観音も一度は見たかったので見られて満足。金粉でキラッキラに輝いているのかと想像していたけれど、もっと落ち着いた感じでした。観音様は空中に浮いていて、その手に持った小瓶から水滴が落ちて童子が地上に落ちていく、という解説があったのですが、童子のいるあたりの背景の色が海底のような深い色で、私にはカプセルに入った子供が海底に落ちていくように見えた。金よりもむしろその何色と言えないような深い色が印象に残りました。童子の体にまとわりついている帯のようなものは、目を凝らせば凝らすほどへその緒のように見えて、そうするとますます子供の周りにあるのは気体ではなくて液体に見えてくるのですよ。現代日本画のアーティストがもっとグロテスクな表現でこんな絵を描いていそう、、、と思ってしまった。そう思うと明治にこんな絵を描いた芳崖はやっぱり日本画の新しい地平を切り開いた人と言っていいのかなあと感じました。

2つ目の展示室に、菱田春草の作品がいくつかあって、「落葉」という六曲一双の屏風絵が素敵でした。空気遠近法で描かれた木立と落葉、そして小さな鳥が2羽描かれたもので、奥までずーっと吸い込まれそうな幻想的な作品。この屏風を観ていて思い出したのが、前にゴッホ展で見た「ポプラ林の中の二人」という作品。この絵も地面を見下ろすような高さから木立を描いたもので構図が良く似ていた。それと同時期の「花咲く灌木」に描かれていた色鮮やかな木の幹と、この「落葉」に描かれていた木の幹がそっくりだったのにも驚きました。この幹を観て、菱田春草に俄然興味がわきました。菱田春草は36歳で亡くなったと言います。そして「落葉」はその亡くなる前年に描かれたもの。色々重なっているように感じてしまう。他の作品ももっと見たくなりました。

ところで、この展覧会の会場に入った時に、ちょっとじっくり見る気力が最初の1枚から全然湧き起こらず、なんだか展覧会観すぎたかなあ、、、と思ってしまった。なので、目当ての2枚を観た後は解説も読まずにブラブラと見て回りました。それでも菱田春草と出会えたりもして満足度は結構高かった。


# by fumiko212 | 2018-10-21 20:51 | アート | Trackback | Comments(0)