1 ![]() 暑い、暑い、夏の正午。古びた一軒家の門をくぐると、お庭の奥にコーヒー屋台が設えてありました。そこに佇む雰囲気のある男性がオオヤさんでした。オオヤさんがここでコーヒーを入れてくださるのですか!豆だけ買えたらなあと思っていたのに、そんな贅沢な。。。緊張する。えーっと、はじめまして、とご挨拶をして、早速コーヒーを入れていただくことに。 メニュー表にはカメルーンの浅炒り豆とエチオピアモカ(だったかな?)の深炒り豆の2種類が、豆のサンプルとともに書かれていました。 アイスでもホットでも、とのことで、「やっぱりホットがいいんでしょうか?」と伺うと「どちらでもお好きなほうで」とのこと。この暑さなので、普通ならアイスなのですが、やっぱりホットで香りを楽しんでみたい、とホットコーヒーをいただくことに。さて、豆はどちらをいただこうか。コーヒーの酸味は苦手なので、深炒りを選びたいところですが、コーヒーの酸味の美味しさを知ってみたい、という欲求もあったので、ここはあえて浅炒りのカメルーンをいただくことに。そのことをお伝えすると、それならぴったりだ、とおっしゃってくださいました。 目の前で豆を挽き、ネルドリップでドリップしてくださいます。器は木下宝さんとおっしゃるガラス作家さんのシンプルなグラスです。ドリップしたコーヒーをうけるビーカーのような器も木下さんの作品だとか。耐熱ガラスではないそうなのですが、オオヤさんのコーヒーは温めの温度でドリップするので大丈夫でしょう、とのこと。家ではコストコの安コーヒーを安物のコーヒーメーカーでドリップし、イギリスの某有名メーカーの大量生産品カップで飲んでいる私にとっては、すべてが特別な感じです。 丁寧に入れていただいたコーヒーを一口飲むと、まろやかな酸味が口に広がります。オオヤさんは「フルーツを焦がしたような味でしょ。」とおっしゃっていました。酸味のコーヒーでもこういう酸味は初めて。酸っぱい、とは感じないんです。まろやかな酸味。そして浅炒りというとちょっと水っぽくなるイメージだったのですが、しっかりとしたコクがある。これはかなりたっぷりの豆で落としているからなのでしょうか。1人分としてはかなり量が多いな、と思って伺ったら、「僕は多ければ多いほど美味しく入ると思っている。」とおっしゃっていました。濃くなりすぎないのかな?と伺うと、「濃かったらお湯で割ればいいんですよ。」とのこと。 私以外のお客さんは、いかにもコーヒー通な感じの男性が1人と、オオヤさんのお友達の女性2人(お一方はフェアトレードでコーヒーを扱っている方、もうお一方はコーヒーに関する本を出版されたとお話されてました。)。一見さんは私だけという感じで、ちょっと肩身が狭かったのですが、なんとなく会話に混ぜていただきました。お友達の女性たちも、コーヒー通の方たちの間ではきっと有名な方なのだと思うのですが、私は存じ上げず、「いつもスーパーのコーヒーを飲んでいるような者なので、すみません、、、」と冷や汗もの。「いいのよいいのよ。普段飲むのはそれで充分よね。」と優しいお言葉。オオヤさんも「普段飲むコーヒーだったら、スタバのインスタントが美味しいですよ。」と、とてもラフなことをおっしゃる方なんです。その話題なら私も参加できる。オオヤさん曰く、「お金がある企業はああいうものを作れるんですね。羨ましい。この業界相手の商売で、あなたのコーヒーを濃縮コーヒーにします、っていう売込みがあるじゃないですか。あれ、スタバがインスタント作ってくれるって言ったら、僕、作ってもらいたいよ。」とおっしゃっていました。 私のレベルに合わせた話題でお話くださったのだと思いますが、最初から「アイスでもホットでも、ミルクも砂糖もありますよ。」とおっしゃったり、「豆の保存はガラス容器だっていいし、密閉する必要もない。常温でいいんですよ。コーヒーは焙煎してからだんだん味が変わっていくのを楽しむものなんですよ。」と、堅苦しいことはあまりおっしゃらないんです。細部まで神経を行き届かせて、最高の状態に仕上げた豆を丁寧にドリップして出してくださるのに、最後のところは飲む人の好みで決めていい、っていうところが素敵です。学生時代にバイトをしたドトールの店長に「コーヒーの味はブラックじゃなきゃわからない。」とエスプレッソをブラックで飲まされたときは苦痛だったもの。 結局、深炒りのエチオピアの豆もいただくことにして、2杯のコーヒーをいただきました。 本当なら木下さんの器もじっくり見たかったし、重信初江さんのアールグレーのアイスクリームをカメルーンのコーヒーに浮かべたコーヒーフロートもとても美味しそうだったのだけれど、時間切れに。 木漏れ日の中、屋台を囲んで、コーヒー好きの人たちとおしゃべりしながらゆっくり飲んだコーヒーは、間違いなく、特別な味わいがありました。9月の終わりごろに届けてくださる(どうなってるのよ!と怒る寸前くらいに届きます、とのこと。)という今日の2種類の豆を心待ちに待ちたいと思います。 あ、そうそう、オオヤさんがお友達の方たちに持ってこられた京都のお土産のひとつが玉姫酢でした。「僕、すごく田舎に住んでるんだけど、近所の古いよろずやに売ってるんですよ。」とのこと。空き瓶を持っていくと買える、というのも今はやっていないそうです。目の前を横切った玉姫酢。羨ましかったなあ。笑 ■
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by fumiko212
| 2010-08-21 22:11
| 私のお気に入り
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![]() ヴィンタートゥール美術館から来日したルソーの作品「赤ん坊のお祝い!」と世田谷美術館所蔵作品「フリュマンス・ビッシュの肖像」のコラボデザインです。 企画展は全国巡回しますが、このチケットホルダーは世田谷美術展でしか買えないそうです。 世田谷美術館は素朴派の作品を所蔵作品として収集しているので、ルソー作品が3点もあるのです(ウィキペディアによると4点とか?)。ヴィンタートゥールの企画展の会期中、所蔵作品も展示されていますので、忘れずに2階の展示室もチェックしてくださいね。 実は、今回初めて世田谷美術館所蔵のルソー作品を見ることができたのですが、その中の1枚、「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」にビックリしました。オルセーの「蛇使いの女」が密林絵画の最高傑作なら、この作品はルソーが何枚も描いているパリ市内風景の作品の中の最高傑作かもしれません。ルソーって人はたまに神様が降りてきて、とんでもない作品を書いてしまう人なのかもしれない。正直、企画展で見たどの作品よりも印象に残りました。 月明かりに白く照らし出される並木の遠景、川面に映る橋の街灯の明かり、暗がりに佇む人、すべては現実世界でありながら、どこか空想の世界を描いたようなこの作品は、「蛇使いの女」に通じる空気を持っているように思いました。 ![]() ■
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by fumiko212
| 2010-08-15 13:27
| アート
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![]() で、その他にはどんな商品があるのかしら?とHPを見てみたら、うわーっ、欲しいものがザクザク。 ![]() ![]() 右はスーツケースベルト。このメッセージがかわいい。ハードのスーツケースは人にあげてしまったので、実際にスーツケースベルトが必要なことはないのが残念。 ![]() ![]() 右はトラベル用のケース。旅の衣類をまとめるのはもっぱら風呂敷派の私ですが、こんなケースなら使いたい。 ユカさんも書いてたけど「KIX」の文字がそもそもかっこいいんだよね。NRTじゃこうはならないかも。でもJFKやCDGのテープがあったら欲しいよね。 ■
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by fumiko212
| 2010-08-01 00:52
| 私のお気に入り
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