2018年 07月 13日 ( 1 )

7月1館目:すみだ北斎美術館/ますむらひろしの北斎展

そのうち行きたかった北斎美術館に行ってきました。建築は妹島和世さんなのだそうです。妹島さんと言えば行ったことあるのは21世紀美術館と犬島の家プロジェクトくらいしか思い出せない、、、のですが、何となく「ああそうか」と思ったのが、外から見ると大きな1つの建物なんだけど、分かれているところとつながっているところがあって、小さな開いた箱の集合体みたいなイメージがあって、そんな印象を受けました。あってるかな、、、
それから、学芸員さんの解説で知ったのですが、すみだ北斎美術館のロゴマークは北斎の版画「山下白雨」で富士山の裾野を切り裂く稲妻がモデルなんだそうです。そもそもこのロゴを知らなかったけど、考えた人すごい~。常設展には所蔵品の複製画が展示されているそうで、ざざっと北斎の生涯の作品の遍歴が見渡せるのですが、若いころ(と言っても今見直したら35~45歳)に琳派の頭領が使う雅号「宗理」を名乗っていた時代があったそうで、琳派の流れの中に北斎が存在していたということ?なんでしょうか、、、でもそのあと琳派から外れてどこの派にも属さないと宣言したとありました。このあたりの疑問を解決しないままにするのが私のダメなところなんだよな~。北斎と言えば、去年、上野の西洋美術館に「北斎とジャポニズム展」を見に行ったのに琳派なんて言葉は出てきたかなあ、、、全然頭に残ってない、、、

脇にそれますが、あの展覧会はとっても混んでたけどとても面白かった。北斎が西洋美術に与えた影響をたどる展示で、絵画にとどまらず工芸の分野からの作品も多くて、どれだけブームだったのかが窺えました。そのあと常設展で北斎が伝わる以前の西洋絵画を見て、さらに理解が深まったのでした。常設展見てよかった。

さて、話は戻って北斎美術館の企画展の方。ますむらひろし氏は今回の展示で初めて知りました。漫画家さんで「銀河鉄道の夜」を漫画で描いたりされているそうです。今回は氏の「アタゴオル」という作品の登場人物(というか猫なんですが)が北斎の作品上に現れる作品シリーズの展示でした。「アタゴオル」というのは神話の世界のことと私は理解したのだけれど、ヒデヨシという太っちょで酒飲みのおっさん猫、まあイメージとしては古田新みたいな大猫が主人公らしい。ヒデヨシが北斎の版画の世界の中を我が物顔で生きている、見ているとなんだかニヤニヤしちゃう作品。
面白かったのはますむらさん自らが書いた解説文で、この一連の作品制作(北斎版画の模写)過程で気づいた北斎作品に対するツッコミや感嘆を率直に語っているところ。何度も出てくる言葉が「遠近法が間違っている」。北斎は西洋美術にも接していて正しい遠近法を習得していたはずだからこれはわざとやっている、と。遠近法を壊してでも構図をドラマティックにすることを選んでいることに氏は模写の過程でいちいち気づかされたのだそうです。

ルネサンス期に完成した遠近法は、画家にとって絶対に必要な技術とされていたけれど、ラファエル前派や印象派の画家たちにアカデミズムの象徴として否定されていった(写真の登場により遠近法的に正しい絵画の必要性も薄れていった時期と重なる)という話を聞いたときに、それじゃあ遠近法はもう絵画の世界では必要なくなってしまったのか?という疑問が自分の中に残っていました。そんな矢先に、今やってる朝ドラで、漫画家となったスズメちゃんがアシスタントに「ここ、パース間違ってる!」とダメだしするセリフがあって、そうか、漫画の世界では遠近法が正しいことが今でも絶対に必要なこととして存在しているのだな、と気づいたところ。つまり、漫画家であるますむらさんはアカデミックな教育を受けていた19世紀の画家たちと同じ目を持って北斎を見ている、ということなのかな。素人の私はそもそも正しい遠近法かどうかなど気にしてないし(それも問題?)、絵画と言えばもっぱら印象派以降の作品ばかり好んで見ているので、そういう気付きがないのだな。それでも、去年のジャポニズム展の後で、常設でルネサンス期の作品を見たときに、「これは確かに北斎を知る以前の西洋絵画だ」と思えたのは、そういうことだったんだね。
文章長くて伝わらないと思うけど、自分の中ではいろんなことがつながってすごく納得できたので、ますむら北斎展を見られたのは本当によかったと思ってます。

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by fumiko212 | 2018-07-13 23:10 | アート | Trackback | Comments(0)