>>追記<< 上野・東京都美術館で2日から始まった「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」。日本人に人気の高いフェルメール作品が7点も集まるとなると、混雑必至。ならば早いうちに行ってしまおう、と、張り切って初日に行ってきました。 行列はできていなかったけれど、会場に入ると既に人人人。順路は無視してフェルメール作品を最初に見ておこう、と会場をどんどん奥へ。フェルメール作品は上階にまとめて展示してあるのですが、なんと一度上階へ上がると、下へは戻れない、とのこと。一瞬迷ったけれど、今日はフェルメールを観にきたのだから、と「デルフトの巨匠達」の作品群はバッサリと切り捨てました。 前置きが長くなりましたが、今回集まったフェルメールの7作品を見て、一番印象に残ったのは、「白の輝き」。 初期の作品「マルタとマリアの家のキリスト」は、まだ全然フェルメールしていない作品ですが、マルタが髪に巻いた白いスカーフに後方から光が当たって輝いている様子は、その後のフェルメールを思い起こさせるものでした。 2枚しか現存しない風景画のうちの1枚「小路」では雲。上方が日の光を浴びて白く輝き、下方は鈍色に沈んでいる。 そして、フェルメールらしい、向かって左手の窓からの光を利用して室内の人物を描く構図の作品が4枚。 「ワイングラスを持つ娘」では、いろいろな白が表現されています。テーブルの上に広げられたナプキンのしゃりっとした白、陶器の水差しのひんやりと光を反射する白、娘の手を取る男性の袖口のレースが繊細に光る白。 「手紙を書く婦人と召使」では、召使の洗いざらしたブラウスの生成り色と婦人の胸元を縁取る上等な素材の白さの対比。パールの輝き。 今回はそんなところに注目して見ていました。 それから、フェルメールの室内画では複数の人物が描かれているものと、1人の人物が描かれているものがあります。1人が描かれている静謐な雰囲気はとてもフェルメールらしい。一方、複数の人物が描かれていると、その人物達の人間関係をおもしろがって探っているフェルメール象が浮かんできます。 そんな中で、フェルメールの絵に出てくる「召使い」は好きなキャラクターです。(「恋文」やフリックコレクションの「婦人と召使い」にも登場。)絵の中で、召使の女性はたいてい主人の手紙を預かる、という役割を与えられていますが、主人の秘密を握っているかのような余裕のある表情を見せています。主従関係というよりは相談相手のような間柄なんじゃないかと感じさせられます。 1人の人物が描かれている作品は2枚。 「リュートを調弦する女」はMET(メトロポリタン美術館)で何度も見ている作品なので、とても親しみを感じました。(写真はMETで撮影したもの。)この絵を通してMETと繋がれるような気がして、見ているだけで嬉しくなってしまう1枚です。女性の好奇心に満ちた表情も素敵です。 最後は小さな小さな「ヴァージナルの前に座る若い女」。この作品は数年前、新たにフェルメールの真筆とされ、今は個人蔵となっています。カーテンや地図など、フェルメールの絵に欠かせない室内の装飾が描かれていないので、フェルメールっぽくなくも見えるのですが、女性の髪に結ばれたリボンは、ほぼ同じサイズで描かれている「レースを編む女」に描かれている赤い糸と、フワフワっと描かれている雰囲気が一緒だ!と思いました。(「レースを編む女」は画集でしか見たことがないのですが…。)それに、こんな小さな作品だったら、まだまだ世界のあちこちにフェルメール作品が眠っているような気がしてワクワクします。 かなり話があっちこっちに行きましたが、そういう意味ではフェルメールのいろんなタイプの作品が集まった今回のフェルメール展、フェルメール作品7点を重点的に鑑賞しただけですが、非常に充実した内容でした。 展覧会は12月14日まで開催。
by fumiko212
| 2008-08-02 09:12
| アート
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Comments(2)
うっわー、うっわーーー!
初日朝イチですか? 昨日のレセプションに諸事情で欠席してしまったので すごくうらやましいです! 「絵画芸術」が来ないのが残念ですが、ウィーンで見たからいいや!
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Commented
by
fumiko212 at 2008-08-02 21:34
さちえさん
みんなが行こうかな、と思う前に行ってしまおう!と思って、初日に行ってみました。でもやっぱり混んでたー。 朝2くらいになってしまったので、地下の展示室はパスしてフェルメールだけをじっくり見てきました。 「絵画芸術」は私はニューヨークで見てるんですよー。
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