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ニューヨークでアート三昧(その1):メトロポリタン美術館 エキシビションで感激編

久々のメトロポリタン美術館。5月に館内をくまなく見たので、今回は目的を絞って攻めました。
b0031055_12231060.jpg今回はエキシビションが大当たり!"Cezanne to Picasso: Ambroise Vollard, Patron of the Avant-Garde(セザンヌからピカソまで:前衛のパトロン、アンブロワーゼ・ボラール)"が開催中でした。多分人気のエキシビションだろうな、と思ったのでまずはここから。
「セザンヌからピカソ」といえば、絵画史の中で最も人気の時代の絵を集めたことはわかりますが、それならMETにだって沢山あります。この展覧会のポイントは「前衛のパトロン」アンブロワーゼ・ボラール氏が扱った作品だということ。この人、パリの伝説的画商なのだそうです。コレクターではなくあくまでも画商として当時の前衛芸術であった印象派~後期印象派の絵画を扱った人なんだそう。箱根のポーラ美術館やプライスコレクションの若冲展などを見て思ったのですが、目利きの審美眼にかなった作品を集めた偏愛系展覧会はいい!「前衛のパトロン」の眼に留まった作品たちがどんなものなのか?ワクワクします。
b0031055_12224858.jpgこの人がボラールさん。セザンヌによる肖像画です。他にもボナール、ピカソなど、肖像画だけを集めた部屋が1部屋あるほど、多くの画家に肖像画を描かせています。セザンヌが世に認められたきっかけがこの人が開催した回顧展だったのだとか。ゴッホもあと数年生きていれば生前に売れた絵は1枚だけ、なんて結末にはならなかったのかも?
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エキシビション会場の入口には、ドーンとこの絵のパネルが。え?もしかしてこの作品もあるの?予備知識ほとんどなしで来たので、まさかこの絵をこの機会に見られるなんて思ってなかった!ポール・ゴーギャン"Where Do We Come From? What Are We? Where Are We Going?(我々はどこから来たのか、我々は何者なのか、我々はどこへ行くのか)"。TVの美術番組でゴーギャンについての特集があると必ず紹介される晩年の大作です。右側の生まれたばかりの赤ちゃんと若い女性、そして左側の死の影におびえる老婆。実物を見ると若い女性の肌のみずみずしさがやはり想像を上回ってました。(ってずーっと見たかったのにそれだけかい!笑)
b0031055_12571727.jpg展覧会はセザンヌ・ゴッホ・ゴーギャン・ドガ…というように1部屋が1人の画家の作品で埋め尽くされています。一番良かったのはやっぱりゴッホだなー。一番感激だったのがこの作品。METの所蔵作品でありながら今まで1度も見ることが出来ていなかった"L'Arlesienne: Madame Joseph-Michel Ginoux(アルルの女:ジヌー夫人)"がありました!実物を見ていないのにポストカードを購入して長年実物はどんなだろう?と思っていた作品です。これもボラール氏のコレクションだったんだ。さすがだなー。
ポストカードではジヌー夫人の服は黒に近い紺色に見えるのだけれど、実物は鮮やかな藍色でした。背景の黄色とお互いを引き立てあって輝いていました。ゴッホの絵で藍色と黄色とえいばアルルで描かれた「夜のカフェ」を思い出します。ゴッホの絵には補色を使って対象を際立たせている作品が多くありますが、この作品には「黄色と藍色」、そして「テーブルの緑と本の表紙の赤」、と2つの補色の組み合わせが使われていました。強烈な色の対比を使ってジヌー夫人の人柄を表そうとしたのかな?などと考えてしまいます。おおらかでありながら強烈な個性と芯の強さを持っているアルルの女性、というイメージが湧いてきます。うーん。もう一度見たい!METさん、いつでも見られる場所に展示してくださいね。
b0031055_1374262.jpgそれともう1枚ゴッホから。"Starry Night"。ゴッホの"Starry Night"といえば、MoMAにあるものがなんと言っても有名ですが、私はアルルで描かれたこちらの"Starry Night"もお気に入り。パリのオルセー美術館の所蔵作品です。パリでは見られなかったんだけど、なんとニューヨークで見ることが出来てしまいました。さすがMET。ありがとう~。この作品も想像よりもずっと明るい絵でした。川に映った家々の明かり、空に輝く星。右下の2人の人影。とっぷりと日が暮れてしまって不安そうに家路を急ぐ人たちだと思っていたけど、実物を見ると、明るい夜空の下、夜の散歩を楽しんでいる人たちに見えました。
ドガの部屋も良かった。パステル画が常設展示の薄暗い部屋から明るい部屋に持ち込まれて、絵には悪いけど明るい場所で見られるのはエキシビションならではです。
ピカソは青の時代からキュビズム、ミノタウロスを題材にしたリトグラフまで。ボラール氏の没年が1939年ということなので、同時代にピカソを扱っていたことがわかります。
マティスはちょっとあまり見たことのないような作品が多かった(MoMAとごっちゃになってイマイチ記憶が鮮明でないのですが…)。
新鮮だったのはルオーの作品。これ誰だっけ?誰だっけ?と考えながら見てて、あーそうだ、ルオーだ、と。いつもはこの人の絵って素通り気味なんだけど、ん?と足を止めたくなる作品が並んでました。
そういえば、この時代がテーマの展覧会では必ず沢山の作品が入ってくるはずのルノアールがほとんどなかった。ルノアールって私の中でイマイチ好みでない人なんだけど、ボラールさん的にも自分が買わなくてもいいなって画家だったのかなー?なんて思って、勝手に親近感湧いてました。

もっともっと部屋を行きつ戻りつじっくり見たかったけど、結局はさらっと見て終ってしまったのが悔やまれます。この日、朝からサラベスのパンケーキをがっついたのがたたって調子が悪かったのが残念。もっと万全の体調で精力的に見たかった。
でもさすがMET!と溜息が出るような豪華なエキシビションでした。図録買いたかったー。重そうだから断念しちゃったけどこういうのを思い切って買わないとダメですね。そのうちAmazonで買えないかなあ。展示の横には解説文があり、内容はボラール氏が絵を購入したときのエピソードだったのだそうで、こういう解説文もサクサク読めるようになっておきたいものです。

エキシビションは1月7日に終了。この後、シカゴ、パリに巡回するそうです。チャンスがあったら是非!

※ボラール氏について、また巡回の情報はこのホームページを参照しました。
※「ジヌー夫人」について書かれていたYukoさんの記事にトラックバックします。
by fumiko212 | 2007-01-08 14:32 | -NY art & museum | Trackback | Comments(8)
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Commented by もっち at 2007-01-08 20:18 x
これほんとによかったですよね。最後までMETに行く予定はなかったのですが、急遽母に付き合う感じで行って、このエキシビションにまにあってよかったです。セザンヌ大好きな私にはセザンヌをかざった部屋から動けませんでした。前回のMOMAのエキシビションもすごかったけど、METもさすがだな~。
Commented by fumiko212 at 2007-01-10 00:49
もっちさん
セザンヌが一番充実してましたねー。しかもいい絵が多かった。カタログ欲しかったです。GWにセールで売ってないかなあ。。。
MoMAもセザンヌのエキシビションやってたんですねー。やっぱりこの2大美術館のエキシビションは気合は行ってますよね~。
Commented by みいこ at 2007-01-10 12:51 x
最近千住さんの新刊を読んでて、「アルルの女:ジヌー夫人」がある個人収集家から別の個人収集家に買われて、これでまた一般の人は見る機会がなくなるというようなことが書いてありました(千住さんの発言じゃないですけど)。で、どんな絵なんだろ?と思ってたとこなのですごいタイムリーです!びっくり。今はMETで観れるのですね。
Starry Nightも初めてみたかも。カフェテラスと似てるけどこっちも広がりがあってよいですね。前回はMETは外してしまいましたが、次回は行って実物観たいです。
Commented by fumiko212 at 2007-01-10 22:41
みいこさん
個人収集家が買ったのは別のジヌー夫人じゃないかな?と思います。これはMETの所蔵作品だと思うんだけど。貸与とかなのかな?でも私は常設で見たことは一度もないんですよ。この後は展覧会と一緒にシカゴ、パリを巡回で、また見る機会は暫らくなさそうです。
Commented by みいこ at 2007-01-12 12:43 x
>別のジヌー夫人
ググってみました。多分時期からいってこれだな。ほんと全然違う絵だ笑い。http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20060503-OHT1T00765.htm
いやー、、実は「睡蓮」も最近まで連作だったとは知らなかった私。。おかしいな~とは思ってたんですがね。おはずかしい。
まだ日の目を見ない絵もたくさんあるらしいし、画家ってもものすごい数の作品を描いているんだね・・・
Commented by Fumiko at 2007-01-12 21:34 x
みいこさん
そうそう、これのことだと思いますよ。
>実は「睡蓮」も最近まで連作だったとは知らなかった
あ、これすごいわかる。私も有名なだけに、パリのオランジュリー美術館にしかないものだと思ってました。最初は「モナ・リザ」みたいに唯一無二の絵のほうがなじみがありますもんね。
Commented by Yuko at 2007-01-14 10:22 x
トラックバックと私のブログの紹介、ありがとうございます!
私は"Starry Night"をシカゴ美術館の特別展で観ましたが、お気に入り中のお気に入りです。夜空の星、水面に映った明かり・・・すごく感動して、忘れられない1枚です。
あ~~ それにしてもうらやましい!
あらゆる面で太っ腹なMETが、ツリーの撮影が禁止なんて、どんなツリーなんだろう・・・。とても気になります。
Commented by fumiko212 at 2007-01-14 21:10
Yukoさん
すごいタイミングで書いてくださっていたからビックリしました!ゴッホは純粋な人だったと思うから、この女主人を敬愛する気持ちもとっても深かったんでしょうね。それにしてもシカゴの展覧会は本当に充実した内容だったんですねー。
METのツリーは是非実物を見に行ってくださいね!


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