「決闘!高田馬場」(ネタバレ満載)

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いいですね~、このポスター。

「決闘!高田馬場」について、まだまだ書き足りてないので、もう少し。

お話しの題材は有名らしいですね。見せ場は後半、叔父の別れの置き手紙を読んだ主人公 中山安兵衛が決闘の助太刀をせんと決闘の地 高田馬場までひた走るシーン、ということで、とにかくスピード感抜群の舞台になることは予想できます。が、ここまでとは!

その前に前半だって、飽きさせない場面展開の連続。最初からお客さんを笑う体制にもっていっちゃうのは三谷さんならでは。あれ?笑っていいの?って思う間もなく、最初から顔が笑った形でお芝居が始まっちゃいます。

三谷作品初出演の亀次郎さんは、最初は明らかに戸惑ってる人として登場する。実は、3役を何度も早変わる亀次郎さん。最終的には一番おいしい役なだけに、稽古初日からの亀次郎さんの変遷を見るようで、なんとなくおかしい。最初は、様子見で傍観してたのに、最後には一番馴染んじゃって、一番喜んでやってた、みたいな。この人の貫禄、自分より若いとは思えないです。

昨年のコクーン歌舞伎でもそうだったんだけど、歌舞伎のコメディ的要素の出来を決定付けるのは、なんといっても年配の女性(婆さん)役のコメディエンヌ(だよね?この場合)っぷりにかかってるんじゃないかと思うのですが、「決闘!高田馬場」では長屋のゴッドマザー的存在の「おウメ婆さん」(ちなみに婆さんとかババアと呼ぶと返事はしない。)が最高。稽古途中の座談会で、三谷さんが、「最終的にはおウメさんも走らせたい。」と語っていましたが…。と、走る話しはまた後で。

前半、もう一つわくわくして見ていたのが、安兵衛の叔父が長屋を訪ねてくる場面の長屋のセット。
長屋の住人は、おウメ婆さんを筆頭に、若い大工、働き者の女房とぐうたら亭主の若夫婦、やぶ医者先生の面々。それぞれ、安兵衛には一方ならない世話になっているので、今の落ちぶれた安兵衛を見ても慕う気持ちは変わらない。
そのエピソードを一人一人語るシーンでは、回り舞台に組まれた各人の長屋の部屋が登場します。部屋といっても、長屋の玄関側の壁面だけ。その壁1枚だけで登場人物の生活が伝わってくる。若い大工の部屋には大工道具一式が壁いっぱいに吊り下げられ、美人画の錦絵が貼ってある。やぶ医者先生の部屋には人体図と薬箱。おウメ婆さんの部屋には仏壇がしつらえてある。薄紙を張って隙間風をさえぎっているところまで細かく作ってあって、大道具さん小道具さんの江戸マニア度が嬉しい。というか、歌舞伎の人だから当然のこととして作ってるんですね。

三谷脚本には、誰一人無駄な登場人物はいませんから、長屋の人たちの会話1つ1つが後半の走るシーンに繋がっていくわけです。

後半、高田馬場に向かって走り出す長屋の仲間一同。廻り舞台やセリやライト、いろんな装置を駆使してスピード感を煽ります。一番効いてたのは舞台の奥行きを3層に区切るように張られた薄いシルバーの幕(ブレヒト幕というそうです)。この幕が右に左に開閉するたびに、役が入れ替わったり、シーンが入れ替わったり、大忙しの場面展開。息もつかせぬ、とはまさにこのこと。

で、おウメ婆さんは走ったのか?

走りましたよー。丸太につかまって川を渡り、あれよあれよと高田馬場へ。いつの間にかトップで決闘の地に到着してしまいました。ひゅー!
走って走って幕切れは唐突に、例の渋色3色縦縞の幕(定式幕という歌舞伎では一番各が高い幕なんだそうです)がさーっとひかれて、到着~!
あー、喉カラカラ~、と繋がるわけです。ふー。
休憩なしの2時間10分。これがホントのあっという間の出来事でした。

そんな感じで、文章にしても全然伝わらないですね(笑)。25日のWOWOW中継、見られる環境のある方は絶対に見ましょう。日本人に生まれてよかった!って絶対に思えますから。



勘太郎君はコクーン歌舞伎に出演中のお父さんと弟に「スパイ」とか「裏切り者」などと言われているそうですが、のびのびとやってましたね。たまにキレるとことか、お父さんから離れて発散してるの図、と思ってしまったのは私だけかな?役的には「新選組!」のときの平助とちょっとかぶってるとこもあって、三谷さんの勘太郎像はこういう人なんだろうな。

染五郎を観たのは、三谷作品の「マトリョーシカ」以来。あの時はお父さんの存在感にただただ圧倒されたけど、今回は座長(という呼び名であってる?)として存在感ありました。立派になったねえ、と近所のおばちゃんみたいな感想を持ってしまいました。
この人、立ち姿が美しい。顔がちっちゃくて背が高いから絵になるんだー。見得を切るとこなんて、浮世絵の役者絵を見ているようでした。

歌舞伎役者さんのべらんめえ調のしゃべり方って、リズムがあって気持ちいいですね。普段はそうじゃなくても、役になるとバッチリ、なんですね。
そうそう、今回は通のお客さんがいなかったのか、掛け声がないのが残念だったなー。絶妙なタイミングで上のほうの席から「高麗屋!」って入ると気持ちいいのになー。そこだけが残念でした。
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by fumiko212 | 2006-03-18 00:41 | 映画・舞台・ドラマ | Trackback | Comments(2)
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Commented by imusam928 at 2006-03-23 23:39
私がみにいったときのツレは、その日はそっけなかったのに実は静かに大感動したようで、昨日会社休んで当日券ゲットして2回目を見に行ってきたという報告あり・・・。やっぱり掛け声なかったから残念だと言ってた。あれがあるだけで”気分”なんだよね。
歌舞伎役者はみんな決めポーズがしっかりするのは小さいころから教えられた作法なんでしょうかね。歌舞伎以外の舞台を観て、「染ちゃんウツクシイ~」とまた歌舞伎にもどったわたしです。
Commented by fumiko212run at 2006-03-24 00:22
imusamさん
そのお友達の行動力、素晴らしいです!静かに大感動、っていいですね。歌舞伎役者さんのコアマッスルはすっごい鍛えられてるんでしょうね~。以前、勘九郎さん(当時)がインタビューに特別身体を鍛える為のことは何もしていない、と答えていました。踊りや演技のお稽古だけで体を作ってるんですね。
染めちゃんっていうんだ(笑)。いやー、美しかったです。イナバウアーも本家に負けてなかった。


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