10月6館目:小原古邨展/茅ヶ崎市美術館

日曜美術館で知った小原古邨。明治期の多色刷り木版の絵師、と言ってしまっていいのかな。番組では、海外での評価が高く、制作が追い付かないほどの注文があり、木版画に転向したと紹介されていました。よく知っている大判の浮世絵よりも少しスリムな版画作品は、ほとんどすべてが花鳥画で、植物の静と鳥・虫・小動物の動とがせめぎ合った一瞬を切り取った構図が、透明感のある色彩と細密な線で表現されていました。作品は、季節を少しずつ進みながら大量に展示されていましたが、観ていて全然疲れない。1枚1枚が清々しい空気感を持っていたからかなあ。虫メガネ片手にじっくりとみてきました。
鳥がいろんな角度から描かれていて、確かにこの角度から見るとこう見えるんだろうけど、鳥がその角度で静止しているはずもなく、古邨は一体どんな眼を持って、この一瞬を写し取っていたのだろう、、、と驚嘆するばかりです。子供のころから鍛練して獲得できるものなのか、生まれ持ってそういう眼を持っている者が画家になれるのか。やっぱり運動神経と同じで、観たものを脳に焼き付ける能力にたけている人なんだろうなあ。
そして、木版画の彫りと摺りの精密さも、同じように特別な技ですよね。いったいどんな彫刻刀を使えばこんなものが彫れるのか?日曜美術館で、1枚の作品を仕上げるのに21版使うと言っていたかな?現代の摺り師が、発見された当時の版を使って再現していたけれど、微妙な諧調を摺り分けながら、作品に奥行きを持たせていく様子はすごかった。1枚の小さな花びらにいったい何版使っているんだろう?と考えると気が遠くなる。
作品を観るときに、ついつい、技術の凄さを想像して、唸ってしまうんだけど、やはりなんといってもその画面の一瞬の美しさに魅了されました。途中展示替えがあったそうなので、もう少し近ければ、何度も通いたくなってしまっただろうな。
古邨の作品がこれだけ大々的にまとめて展示されるのは、国内で初めてのことだったそうで、ぜひまたみられる機会があると良いな~。

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by fumiko212 | 2018-10-31 23:57 | アート | Trackback | Comments(0)
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