10月4館目:東京国立近代美術館

ぐるっとパス月間なので、前々から行こうと思っていた近美の常設を見に行きました。ひとつ前の住友の美術館からのハシゴです。近美は新美術館が出来てから、あまり見たい企画展をやらなくなったので、常設も全然見なくなってしまった。もしかしたら10年とかぶりだったかもしれない、、、
常設は4階から見るようになっていて、最初にハイライトの部屋があります。その1点目が、なんと菱田春草の作品でした。何という偶然!住友の美術館では1枚目から見る気力がわかなかったのに、こっちは1枚目ですごいやる気が出た。あ、そうそう、春草と言えば大観とともに朦朧体に取り組んだ画家なんだそうです。さっきのエントリに描くのを忘れましたが、あの展覧会には春草以外にも朦朧体の人たちの作品がたくさん出ていたのですが(大観はなかった)、他の人たちの朦朧体はイマイチだなと思ったんです。というのが、その人たちの朦朧体の表現て、浮世絵版画の背景を拙くした感じに見えたから。でも春草のは3作品あって、それぞれが違う表現だけれど輪郭線をなくすことに成功していて、そこもまたよかったんですよ。で、近美に展示されていたのは美しい女性たちの描かれた屏風だったのですが、着物の輪郭線は描かれておらず、さっき見た3作品とはまた違う表現なのにこれもまた成功してる。今年は大観の企画展があったから、来年あたり春草の企画展があると良いな~。まとめていろいろ見たくなりました。

この部屋にはルソーのアンデパンダン展の作品も出ていました。久々に観られてうれしかった。

ハイライトの部屋が終わると時代の流れに沿って所蔵品の展示が始まります。絵画が中心だけれど、日本画と洋画、海外の作家の作品もすべてごちゃまぜ、写真、立体、映像、インスタレーションなど、表現もごちゃまぜ、だけど時代順、という展示、面白かった。

この日は菱田春草との出会いがあって、すでに大満足していたのですが、もう一人新たな画家と出会いました。(出会いとは、この人の作品もっと見たい!と思ったという意味)横山操という日本画の画家。一応、日本画の画家、でいいと思うのですが、オイルパステル、油絵も展示されていました。ミニ特集程度に作品と資料が10点近くあったでしょうか。アメリカを旅しながら描いた作品が何点かあり、その中に縦長の巨大な作品、「ウォール街」がありました。モノクロで描かれた林立する高層ビル、そのビルに切り取られた細いV字型の青空、ビルに反射した夕日なのか一部だけ赤く塗られたビルの尖塔。その3色の配分が絶妙にちょうどいい!それぞれがそれぞれを引き立てあっている。もう、絶対見てほしい。ウィキペディアによると代表作とのことなので、詳しい方は知っているかもしれないけれど、見たことない方はググってみてください。めちゃめちゃかっこいい作品です。で、これがあくまでも日本画の画材で描かれているのです。支持体は紙(多分和紙?)。すごい。
同じくらいのサイズの焼け落ちた五重塔を描いた作品もすごかったです。コンテか木炭で描いたイーストリバーから見た摩天楼のスケッチも素敵でした。いやもう、もっとこの人の作品を観たい。実は、横山操の名は少し前に日曜美術館のアートシーンで見て気になっていたんです。遺品などを展示した企画展の紹介でした。確かぐるっとパスに入っていた三鷹の美術館だったので、これは行くべし!と思ったのですが、なんと17日で終わってしまっていました。残念すぎる~。だってチケットを持っていたんですから(ぐるっとパスのこと)。知らないってこういうことなんだな~。そういえばオイルパステルの作品があったから、もしかしたら8月のクレパス展で見てたのかも?色々な後悔がよぎりました。

このミニコーナーに横山操と一緒に展示されていた加山又造という人の作品もなかなか良かったです。「月と犀」という作品。ルソーの「眠れるジプシー」を彷彿とさせる構図の作品で、これもすごく印象に残りました。

他にはなんとエレベーターホールに展示されていた、舟越保武の「原の城」。先日笠間の彫刻庭園にもあった作品だと思うのですが、あの時は少し離れたところから見たのと、同じ庭園にあったそのほかの作品とのギャップでなんだかよくわかっていなかったのですが、間近に見たらすごい作品だと理解できました。開いた目と口の空洞がこんなに訴えてくるとは、、、声にならない叫びが聞こえ、目には見えない絶望が見えた、と言えばいいのか。。。すごい。この間、全然わかってなくてごめんなさい。
隣には柳原義達の姿はかっこいいのに顔に愛嬌のある鴉のブロンズ(タイトル忘れたので検索したら多分「風の中の鴉」という作品)。世田美の地下のエレベーター横に「バルザックのモデルたりし男」という作品があるのですが、それもそんな雰囲気があって、ああ、私この人の作品好きなんだなと改めて感じました。

結構な作品数を観たのだけれど、最後まで飽きることなく楽しめる、いい展示でした。展示替えごとに来られるようにしようと思います。もらってきたチラシを見ると、毎月第1日曜は無料なのですよ!そうでなくても500円です。所蔵品は13000点あるということなので、永遠に楽しめそうです。(ちなみに世田美の所蔵品数は16000点なので、それより少ないのか!という驚きもあった。)

それから、解説ボランティア募集のチラシを見つけました。美術館のボランティアをやってみたいなと思った時に、最初に見つけたのがこの美術館のボランティア募集のHPでした。すでに応募期間が過ぎていて、次の予定も出ていないし不定期採用なのねって思ていたら、今まさに募集中だったのです。書類選考と面接、その後講座を受けてレポート提出をして、やっとボランティアになれると書いてあります。世田美の学芸員さんに伺った話では、世田美のように申込書を書けばその日からボランティアができる美術館の方が珍しいそうです。もちろん世田美でも企画展やコレクション展が始まるタイミングで担当の学芸員さんによるレクチャーを受けるのですが、その知識を子供たちに必ず話さなければならないという決まりはありません。世田美の学芸員さんいわく、うちのボランティアは美術館にとって都合のいい人を選ぶのではなく、美術館にどんどん意見を言ってくれる人に来てほしいから選考はしない、とのこと。位置づけとしては、スタッフの下で働く人ではなく、最も頻繁に来館する美術館のヘビーユーザーたるお客さん、なのだそうです。だからボランティアが楽しめるのかも。

そういえば、今度の東京オリンピックのボランティアはやりがい搾取だとか一部ネットで言われているようですが、特に文化ボランティアやスポーツボランティアに限って言えば、お客さんとして一番深くそこにかかわれるアクティビティだと言っても語弊はないと思ってるんだけど。。。東京マラソンだったら、もちろん走れるのが一番楽しいけど、その次に楽しめるのがボランティアかなあと思ってます。沿道で応援するのと同じくらいかそれよりももうちょっと楽しくて、もうちょっと深くランナーとコミュニケーションできる。確かにランナーの中には感じ悪い人もいるけど(わからなかったりして聞いてきますみたいなことになると舌打ちする人とかいるんです。ボランティアとわかってて(ジャケットにボランティアと書いてある)おおらかに待ってくれる人の方がずっと多いですが)、バイトでやってたら、そういう時、30倍くらいストレスを感じると思う。

話がそれた。

久々に行った近美がいろいろ良かったという話でした。

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by fumiko212 | 2018-10-21 22:30 | アート | Trackback | Comments(0)
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