10月3館目:狩野芳崖と四天王/泉屋博古館分館

パナソニックミュージアムでこの展覧会のチラシを見つけました。つい最近、明治以降の日本画の画材についてのお話を聞いて、その時の講師の先生が学生時代に研究対象とされていたという狩野芳崖の仁王捉鬼図、そしてその芳崖の絶筆、悲母観音が同時に展示されるというので、さっそく見に行ったのです。

仁王捉鬼図は明治以降入ってきた化学顔料をふんだんに使った極彩色の作品で、それを知って見るからますます仁王の赤と背後を取り巻く緑の雲?がこの日に展示されていたどの作品とも違って見えました。隣に悲母観音があって、こちらのほうがサイズはずっと大きいし全体が金粉で覆われているのだけれど、画面から受ける強烈な印象は仁王捉鬼図の方が強いかもしれない。

悲母観音も一度は見たかったので見られて満足。金粉でキラッキラに輝いているのかと想像していたけれど、もっと落ち着いた感じでした。観音様は空中に浮いていて、その手に持った小瓶から水滴が落ちて童子が地上に落ちていく、という解説があったのですが、童子のいるあたりの背景の色が海底のような深い色で、私にはカプセルに入った子供が海底に落ちていくように見えた。金よりもむしろその何色と言えないような深い色が印象に残りました。童子の体にまとわりついている帯のようなものは、目を凝らせば凝らすほどへその緒のように見えて、そうするとますます子供の周りにあるのは気体ではなくて液体に見えてくるのですよ。現代日本画のアーティストがもっとグロテスクな表現でこんな絵を描いていそう、、、と思ってしまった。そう思うと明治にこんな絵を描いた芳崖はやっぱり日本画の新しい地平を切り開いた人と言っていいのかなあと感じました。

2つ目の展示室に、菱田春草の作品がいくつかあって、「落葉」という六曲一双の屏風絵が素敵でした。空気遠近法で描かれた木立と落葉、そして小さな鳥が2羽描かれたもので、奥までずーっと吸い込まれそうな幻想的な作品。この屏風を観ていて思い出したのが、前にゴッホ展で見た「ポプラ林の中の二人」という作品。この絵も地面を見下ろすような高さから木立を描いたもので構図が良く似ていた。それと同時期の「花咲く灌木」に描かれていた色鮮やかな木の幹と、この「落葉」に描かれていた木の幹がそっくりだったのにも驚きました。この幹を観て、菱田春草に俄然興味がわきました。菱田春草は36歳で亡くなったと言います。そして「落葉」はその亡くなる前年に描かれたもの。色々重なっているように感じてしまう。他の作品ももっと見たくなりました。

ところで、この展覧会の会場に入った時に、ちょっとじっくり見る気力が最初の1枚から全然湧き起こらず、なんだか展覧会観すぎたかなあ、、、と思ってしまった。なので、目当ての2枚を観た後は解説も読まずにブラブラと見て回りました。それでも菱田春草と出会えたりもして満足度は結構高かった。


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by fumiko212 | 2018-10-21 20:51 | アート | Trackback | Comments(0)
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