10月2館目:ジョルジュ・ルオー聖なる芸術とモデルにて/パナソニック汐留ミュージアム

朝倉彫塑館(日暮里駅)からハシゴしたのが新橋のパナソニックミュージアム。動線を考えずに見たいところに行ったために、この日は山手線を1周することになってしまった。

ルオー展と銘打った展示を見るのは初めてでした。同時代の複数の画家の中にたまに混じっているルオーの作品は、ほかのどの画家とも全く違う個性が際立っていて、見入ってしまいます。でも私は気になりつつもルオーをよく見ていなかったと、今回気づかされました。厚みばっかり気になっていたけれど、実はすごく透明感のある画面で、色彩がクリアで美しい。油絵具の2大特性である透明性と可塑性を存分に生かした絵画がここにある。中でも後半にあった秋の夕暮や夜明けの風景が良かったな。1月に南仏に行ったときに、ヴァンスから帰るバスの中から見えた夕暮れの光に映えるサン・ポール・ヴァンスの街並みを思い出しました。まさにあんな色に光り輝いていた。

そして、これらの油彩画を観る前にもっと感動したのが、展覧会の一番最初に展示してあった銅版画の数々。ミセレーレという版画集からの作品で、様々な技法を使って表現される白と黒の世界に引き込まれました。さらに感動的なのが、その原版が一部展示されていたのです。これは必見です。100年近く経過しているのに版面は美しいまま。あれだけの大きく重い銅版を様々な技法で彫っていったルオーの手の動きが感じられるようでした。
またこの版画集の試し刷りに着色した兄弟のような作品も展示されており、展示室を行きつ戻りつしながら見比べるのも楽しかった。

以前、マティスとルオーの書簡集を読んだときに、画商ヴォラールとの裁判で疲弊するルオーの痛々しい姿が印象に残っているけれど、そんな困難の中でも、こうしてたくさんの作品を残してくれたことに感謝。今回、初めてまとめて作品を観た版画にことさら感動したので、定期的にルオーに関する特別展を開催しているパナソニックミュージアムで、いつか版画をたっぷり集めた展示を見られると良いなあ。

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by fumiko212 | 2018-10-20 00:09 | アート | Trackback | Comments(0)
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