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7月2館目:濱田庄司展 他/世田谷美術館

濱田庄司の展覧会が世田谷美術館であると知ってから濱田庄司の名前が自分の中にやっとインプットされたという、、、きっと数年前の大原美術館展や金沢の石川県立美術館でも見ていたはずなんだけど。。。今回、どういう人か、どういう作品を作った人か、学芸員さんのレクチャーも聞いてしっかり勉強しました。
そのあと、まだ読めていなかった原田マハさんの「リーチ先生」も読みました。学芸員さんのお話とつながってすごく入ってきた。面白かったです。

ここまで準備してから展覧会を鑑賞。会場の一番最初に、大型の作品が3点展示されていて、その一番左にあったのが「掛分指描」という技法の大皿(鉢?)でした。この作品でいきなりガシッと心をつかまれた。直径50cmを超える大皿に黒の釉薬がかかり、皿の周囲をぐるりと白の釉薬が囲っています。きっとまず最初に黒の釉薬を全体にかけて、白の釉薬を溜めたバケツみたいなところに皿の周囲を浸していったのか、皿の中心には白の釉薬が入らないように皿を傾けて周囲だけに掛けたのか、そういうことだと思います。狙ってはいるけれど仕上がりは重力任せ。さらに黒い釉薬がかかる皿の中心に3本指で短いストロークの筋を何か所かつけており、そこは黒の釉薬が削られて地の赤茶色が表れています。私はその皿の景色を見たとき、自分が北極点に立って、周囲をぐるりと氷の地平線で囲まれ、漆黒の空にオーロラなのか、流れ星なのか、が飛び交っている、という光景が浮かんだのです。ちょっと鳥肌が立つような感動がありました。これは一種の抽象絵画と言えるんじゃないだろうか?6月に静嘉堂文庫で見た焼き物とは全く違った世界。静嘉堂で見たのがアカデミー絵画でこっちがモダンアートっていうくらいに違う。

今回の出品作は濱田作品コレクターである堀尾氏のコレクション(現在は大阪の東洋陶器美術館が所蔵)のほとんどすべてが展示されており、日常の食卓で使う小品が多数含まれているのが特徴とのこと。床の間にでも飾るような大きな壺や茶碗(茶事に使う)よりも、食卓で使う食器の方が親近感がわくし、どんな料理を盛ろうかなどと考えながら見る楽しみがあって印象に残っています。5枚組のお皿で形は一緒(と言っても工業製品ではないので微妙に違う)だけれど色や柄が違うなんて素敵です。5人家族でこれはお父さん、お母さん、て決めて使っていたのかな?と想像したり。豊かな食卓が目に浮かぶようです。英国に3年も滞在し、初の個展はロンドンで開いた濱田ですので、ティーセットなんかもあるんですよ。これも素敵だったな~。私など茶道のたしなみが全くないので、茶碗よりもずっと身近に感じます。
一つだけちょっと珍しいくて印象に残っているのが「段重」というもの。要は陶器の重箱なんだけど、大きさがハガキサイズくらいで見た目は重箱というよりも1人用の弁当箱という風情。陶器だから本当に弁当箱にするのは厳しいだろうけど、これにお弁当を詰めてみたくなった。実際は常備菜みたいなものを入れて、このまま次の食事までしまったりしたのかな?それとも和風ボンボン入れみたいに金平糖とか落雁みたいなものでも入れたのかしら?どれか1つ買うならこれかなあ。。。と妄想するのも楽しかったです。

企画展の後は、ミュージアムコレクション展へ。現在は「東京スケイプ」という写真展が開催中でこれも面白かったのだけれど、その後のコーナー展示に「濱田窯の系譜」として濱田の息子さん、お孫さんの作品が展示されていて、さらに出口のところでは「濱田庄司登り窯復活プロジェクト」のドキュメント映像が上映されていました。30分程度のもので私は15分くらいから見始めたのですが、これがすごかった。「リーチ先生」にも登り窯での焼成の様子が描かれているのですが、登り窯を見たことがないので文章から何となくぼんやりしたイメージを思い描くしかなかったのが、この映像のおかげではっきりと理解できました。我孫子の柳宗理の邸宅内にバーナード・リーチが窯を開き、何度目かの焼成で火災を起こしてリーチのアトリエが作品や資料もろともに全焼してしまうという胸が詰まるエピソードがあったのですが、なるほど、登り窯での焼成とは風向きが悪ければ火災にもなりうる激しいものなのだと理解できました。巨大な窯の下から薪をどんどん投入して窯の上方の窓から炎が躍り出る姿は窯が一つの生き物のように見える幻想的な風景で、もしまた濱田窯で焼成が行われるならぜひ見てみたいと思わされました。
この濱田の登り窯について知ったこともここに書きたいくらい感動的なのですが、長くなるので割愛。見たがりやりたがりなので、今度焼成があるときは見に行きたい!できれば薪割とか炊き出しのボランティアとかやってみたい。(映像では薪割は陶芸家たち自らが行い、炊き出しは近所の方たちがやっていたのできっと参加できない。でも見学はできるみたいだった。)ということを記録しておきます。

濱田の盟友である河井寛次郎展も汐留のパナソニック美術館で開催中ですよね。行けるかなあ、、、

by fumiko212 | 2018-08-08 00:07 | アート | Trackback | Comments(0)
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