今年度は美術強化年度にしよう!本当は去年も少し目標にしていたけど全然できなかった、都内の美術館の常設を見ることをやっていきたいと思ってます。
最近の企画展は結構高いので、厳選していると、美術館に行くことがすごく減ってしまうし、自分で見たい展覧会を選ぶと新しい作家と出会うチャンスがなかなか生まれなくなってしまう。だけど常設展なら数百円で見られて、美術館が選んだ作家の作品が並んでいる。コンサートに例えるなら、定期会員になるのに近いのではないかな。 出来れば週1くらいで行きたいけど、あまり高い目標を掲げると挫折するから、せめて月2回くらいを目指したい。そして、せっかくだから、行ったらなんでもいいから感想を書くことにする。前は展覧会に行くと結構熱心にブログを書いたけど、最近はやってなかったから。 今月行った美術館は 1)東京都美術館「プーシキン美術館展」 2)東京都庭園美術館「アール・デコ・リヴァイヴァル!」建物公開旧朝香宮邸物語/鹿島茂コレクションフランス絵本の世界 3)世田谷美術館「人間・高山辰雄展森羅万象への道」、ミュージアムコレクション「それぞれのふたり小堀四郎と井村正誠」 常設展と言いつつ全部企画展込み(1は企画展のみ)でした。 1)1月のマティス旅の前に、シチューキンについて、ある時期マティスのパトロンだったことを読んだので、シチューキン・コレクションが含まれる本展はぜひ見なければと思っていた。今回の展示ではマティスは1枚だけ。でも、それはシチューキンが最初に買ったマティスの中の1枚だったのだそうだ。正直、展示されていたその作品は私にとってはあまりピンと来るものではなかった。この1枚をきっかけに、シチューキン邸の階段を飾る「ダンス」と「音楽」が生まれた、そこに至る物語はどんなものだったのか、、、そのあたりをまた読みたくなってる。 この展覧会での私にとっての大発見はアルベール・マルケという画家。パリのサンミシェル橋を描いた作品が2つ展示されていた。野獣派の画家とされているそうだけれど、色遣いは野獣派とするととても優しい。かといって印象派の描く風景画とは全然違うし、ユトリロのような雰囲気とも違う。野獣派と言われれば確かにそうだし、近くで見ると平面的なベタッとした画面に見えるのもこの時代らしい。他の作品をうろうろ見て回っているときに、少し離れた場所からその絵がちらっと見えたときその透明感あふれる輝きに気づきハッとした。こんな絵が描けたらな、、、と思えてくるような絵だった。帰ってからネットで検索すると、若いころはマティスと共に美術学校でモローの元で学んでいて、晩年までマティスと交流のあった人物だった。うーむ。このタイミングでこういうことを知ると何か運命を感じてしまう。。。 まとまって作品を見られる美術館はないのか、画集などないのか、検索すると、日本では91年にマルケ展が開催されており、書籍としてもその展覧会の図録が一番充実しているとのこと。2016年にはパリで回顧展があったようで、自分はこういう惜しいタイミングで気づくことが多いのだよなあ、、、とにかく他の作品が図録でもよいので見たかったから、世田谷美術館の図書館に行ってみた。司書さんに尋ねると開架はされていなかったけれど出してもらって見ることはできた。「水の画家」と呼ばれることもあるそうで、確かに水辺の風景画が多く、マルケの透明感のある画風が最大限に発揮される対象なのかもしれない。今後もまとめて作品を見るチャンスはなかなかなさそうだけれど、覚えておこう。 それと、もう一つプチ発見だったのが「ナビ派」の画家の作品について。今まで、何となくボヤーッとしてる絵を描く人たちのグループという感じで、つかみどころがない感じがしてた。例えば「印象派」とか「点描」「野獣派」「キュビズム」とかは特徴が一応理解できてるのに比べて、「ナビ派」はよくわからん、、、という感じ。それが、今回の展示では何となく特徴をつかめた感じ。いい作品がそろっていたのかなあ。それとも最近マティス、ピカソの図版をまとめてみていたから、そのちょっと前の「ナビ派」がすっと入ってきたのかも? 数年前の横浜美術館でのプーシキン美術館展で、シチューキン・コレクションのセザンヌでセザンヌにやっとピンときたことを思い出し、シチューキンさんにますます興味がわいてきた。シチューキン・コレクションがまとまっているというエルミタージュ美術館、プーシキン美術館、行きたいなあ。ロシアのビザ免除、実現すると良いな。 2)関西から従姉が来たので、どこか小ぶりな美術館でランチできたらいいなと思い出かけました。改装後、行こう行こうと思っていたらまた改装してたり、でもすべてきれいになってオープンしたんですね。レストランも奥のカフェもなかなか良かったですよ。 肝心の展示ですが、まずは旧朝香宮邸から。1月にニースで同時代の洋館を見たばかりだったので、部屋や家具の小ささに驚いた。日本家屋を基準にすれば十分に立派なものなのだけれど、洋館とはいえ当時の日本人サイズ、いわゆる「ヒューマンサイズ」で建てたのだと思う。浴室の排水溝の蓋や天井の排気口の蓋にも装飾が施され、ドアノブもエリアごとに違った装飾があったりと、部屋の調度に一分の隙もないことに朝香宮の美意識の高さを感じられる。贅沢の限りを尽くしているという側面もあるから手放しに好感が持てるわけじゃないんだけど、よくぞ残ってくれましたと思える内容でした。邸宅の歴史の解説によると、実は庭園美術館としての歴史が一番長く、朝香宮邸だった時期はそんなに長くはないのだそうな。 フランス絵本の展示も興味深かった。子供のための本という概念が初めて生まれたころからの歴史をたどる内容で、絵本の画風の変遷というものをこうして一覧したのは初めて。なるほどと思う解説が随所にあり、いくら時間があっても足りなかった。 3)世田谷美術館をじっくり堪能しようと、企画展、ミュージアムコレクション展、区民ギャラリー、屋外彫刻作品など全部見る!と意気込んで出かけてきました。 まず企画展。高山辰雄という名前は覚えていなかったけれど、芸大卒業制作で買い上げとなった「砂丘」(セーラー服姿の女性が美しい砂紋のビーチに座っている)は知ってた。その他、チラシには、象徴派のような雰囲気の少女像、そしてナビ派というかゴーギャンぽい作品もある。解説によると、卒業制作買い上げとなり華々しく画壇にデビューした高山は、その後スランプに陥り、それを脱するきっかけになったのがゴーギャンの伝記だったのだそう。帝展で特選となった「室内」という作品は赤と黄色の服を着た少女の周りを緑・青が囲むもので、その影響が強く感じられるのだけれど、日本画だからか、もう少し温かみがある。 印象に残った高山の言葉があったのでメモしてきた。「個性的絵画から人間的絵画へ進みたい。欲するままに描いて、しかも万人の共感するものでありたい。」「個性」こそ画家の画家たる所以、と思いがちだが、そこからさらに進んでひとりの「人間」が欲するままに描くものが普遍的なものになる、それこそが本当の画家だということかな。しつこくマティスの話をすると、その画業を一覧するとやはり同じものを感じる。高山が最晩年に初めて描いたという自画像にはぐっとくるものがあった。 ミュージアムコレクションも区民ギャラリーもそれぞれに楽しめた。区民ギャラリーは、絵心のある区民の方たち(多分)の作品が並んでおり、自分にも絵心があったらなあ、、、と思わされる。広い部屋ではないけれど、一人の人の作品をギュギュっと詰め込んで展示していて、これだけの作品をそろえる過程を思うと本当に感心する。そして上手!プロなのかな?あんなふうに自由に絵を描けたらなあ、、、 屋外(屋内もあり)彫刻作品も、思いのほか充実!直島にあるリチャード・ロングの作品もあった。(検索したらかつて世田美で個展もやってた。)へーへー。 図書館にもお世話になったし、世田谷美術館がなかなかやることを知ったので、次は分館を攻めたいと思います。何せ、せたがやアーツカードを提示すれば160円で見られるのですよ!
by fumiko212
| 2018-05-25 23:24
| アート
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