2008年11月のこのブログにあるコンサートのテレビ中継のことを書きました。
2008年6月に行われた、ベルリン・フィルハーモニーの夏の野外コンサートの録画中継です。指揮者はこのコンサートがベルリン・フィル・デビューだったグスターボ・ドゥダメル。あの中継をきっかけに、自分の興味がいろんな方向に広がった記念すべきコンサートです。前よりもクラシック音楽を聴くようになって、ベルリンまでベルリンフィルを聴きに行ったのもあれが最初のきっかけだった。 もう一つ、あのコンサートをきっかけに私の生活に加わって今も続いていることがあって、それがチェロレッスン。もう9年にもなります。なぜチェロだったかというと、もともと好きな楽器ではあったのですが、あのコンサートで聴いたある曲に魅了されたからでした。それが、「ブラジル風バッハの5番」。チェロの八重奏とソプラノのアリアで演奏される曲で、タイトルの通り、ブラジルの作曲家ヴィラ・ロボスの作品です。いつか演奏してみたいと思ってはいたものの習い始めたころは夢物語くらいにしか思っていなかった。 それから数年たった2012年にニューヨークに行ったときに、学生の無料コンサートの案内をもらうためにジュリアードの売店に立ち寄った。楽譜コーナーがあったので何となくチェロのところをちら見して、買うものなどわかるわけもなく帰ろうとしたところに、店員さんに声をかけられ、とっさに「ブラジル風バッハ5番」はありますか?と聞いてしまった。そしたらその店員さんがすぐに「チェロとソプラノのでしたっけ?」と言って持ってきてくれた。パラパラと見たら、当時はまだ弾いたことがなかったテノール記号の楽譜で、値段は25ドルくらいだったかな。実は一度は日本で楽譜を検索して7000円位するということはその時わかってたので、旅先のテンションもあり、レートが1ドル100円切っていたこともあり、買ってしまった!ホテルに帰って、いったいどうするつもりなんだろう、、、と自問自答したけど、その時は、神社でお札を買ったとでも思おう、とわけのわからない納得の仕方をしました。日本に帰ってから弾いてみようともせずに楽譜はお蔵入り状態でした。 それから時は流れ、チェロレッスンは続けているものの、人前で演奏できる曲は1曲もない、みたいな上達のしなささで、正に「漫然と続けている」状態に陥ってた。それでも、辞めずに続いていたのは、チェロの音が好きなのもあったし、週に1度のレッスンの時間がいろんな意味で自分の生活のリズムを作る1つの要素になっていたからなんだと気づいたのは、教わっている先生がヤマハをお辞めになると分かった時。もしかしたらこのグループレッスンのクラスもなくなっちゃうのかなあ、、、とかなり動揺しました。それが1年前。 丁度その頃、ちょっと考え始めてたのが、この曲を自力で演奏するのは自分の力量では無理(そもそも楽譜がいまだに読めない)なので、先生に教わらないと一生弾けなさそう、ということ。たとえば3か月だけ個人レッスンを申し込んで、先生にこの曲を教えてもらえないだろうか、と。そんな矢先に先生が退職され、独立してチェロ教室を開業されるとのことで、最終的にはこれがきっかけになりました。ヤマハで個人レッスンを申し込むつもりだったのですが、先生に直接お願いできることになった。ある意味渡りに船みたいな状態。 先生のお教室の内覧会みたいな日があったので、仕事帰りに楽譜を抱えてお邪魔しました。とりあえず楽譜を見て、今の私がレッスンすれば弾けるのかをジャッジしてもらうために。ざっと見てくださり、何とかなると思うとのお言葉。それが去年の夏。本当は秋には始めたかったのにぐずぐずしていて結局年明け1月からレッスンを始めていただきました。当初、3か月のレッスンをお願いしており、先生もそれを念頭に、6回のレッスンで何とか形になるところまで指導していただき、この曲のレッスンを終えました。 曲がちゃんと弾けるようになったわけではないけど、本当にやってよかったと思っています。今までは週に1度のレッスンで困らないように、先週教わったことはとりあえずできるようにしてレッスンに行こう、という受け身姿勢でした。先生が選んだ曲、言われたことを粛々と練習するという感じ。それが、もっとビブラートかけたいとか、この部分をきれいに弾くにはどうしたらいいか?とか、私なりにこう演奏したいという欲が出てきた。そうすると、先生も、ちょっと難しいけどこっちのポジションの方が音色がきれいになるとか、ビブラートのかけ方はこっちはゆったり、ここはきつめにとか、教えて下さる。教わる姿勢で先生から得られるものもが変わってくるんだなと思ったり。それと、一人で音を出すことに対する恐怖心が少し薄らいだのも収穫で、グループレッスンでパートに分かれて演奏するときに前より緊張しなくなった気がする。 今までは、チェロは習い事で趣味じゃなかったけど、今は「チェロを演奏すること」が趣味と言えるようになった気がします。一言でいえば「殻を破った」のかな。 弾きたい曲を弾くこと、個人レッスン、この双方が良かったんだと思ってます。それで、せっかくなので、月1回の個人レッスンを続けてみることにして、先生にお願いして帰ってきました。方法はどうとでもとのことで、いくつか提案してもらった中から、二重奏の曲を教わることにしました。先生曰く、「二重奏はうまい人と演ったほうがうまくなる」とのことなので。レッスン費が二重にかかって厳しくなるけど、エンタメ費を削って捻出しようと誓いました。10年目の挑戦、頑張る。
by fumiko212
| 2018-03-21 12:41
| 音楽
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