太郎Day! 夏編 川崎市立岡本太郎美術館

太郎Day! 夏編では川崎市、生田緑地の深い緑に囲まれた川崎市岡本太郎美術館を訪問。
川崎市というと海岸部の工業地帯や市街地が思い浮かびますが、ここ生田緑地は深い緑に覆われた自然が色濃く残る場所でした。小田急線の向ヶ丘遊園駅から車で数分走っただけで、緑地脇の小道には動物飛び出し注意の交通標識が立っていたほど。

美術館の開館は1999年。太郎の存命中には開館することができなかったのだそうです。ウィキペディアによると自然保護活動家の美術館建設反対運動が非常に激しかったのだとか。
確かに、緑地といってもごく狭い範囲で成り立っていた生態系ですから、美術館関連施設の建設のための伐採でも影響は大きかったことと思います。
それでも、美術館につづく針葉樹林の中は、涼しげなカナカナの鳴き声の効果もあって、周囲より1~2度気温が低く感じました。
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b0031055_20295387.jpg美術館併設のカフェテリアTAROで腹ごしらえして、鑑賞開始。
真っ赤なグニャリとひしゃげたような不思議な廊下を抜け、常設展示室へ。ここでは「生誕100年、あっぱれ太郎 歓喜のシャーマニズム」展という切り口での作品展示がされていました。5月に竹橋で見た作品もちらほら。点数はあまり多くありませんが、立体作品の展示は美術館というよりもなんとなく万博のパビリオンを連想させるような博物館的な立体的な展示がされていました。

常設展示で興味深かったのは、太郎の両親、岡本一平とかの子に関する展示。戦前の大正から昭和にかけてのあの時代というのは、もしかすると文化的にすごくリベラルというか、なんかすごいマグマが渦巻くような時代だったんじゃないかと思えてきます。先日、青森県立美術館で寺山修司に関する展示(天上桟敷のポスターとか)を見たときに、60年代ってすごい時代だったんだな、今をときめくグラフィックアーティスト(誰だかわかる人にはわかると思いますが)なんてこれに比べたらぬるま湯だな、と思ったんですが、さらに戦前まで遡るともっとグロテスクだったのかも、と思えてきます。
江戸時代の文化的水準の高さが明治維新で衰退し、その後復活したものがまた戦争で衰退し、そして60年~70年代に盛り上がったものがバブル景気で衰退したっきりなのかも。などと考えをめぐらせてしまう。次に盛り返すことはこの先の日本にあるのだろうか。なんかなさそうなのが寂しい。

企画展示は、生誕100年「人間・岡本太郎」展の後期展示。エントランスには様々な太郎の言葉が大きな垂れ幕で展示されています。
この展覧会は、太郎とかかわりのあった人、物事などから太郎の創作活動に迫ろうというもので、前期は太郎と同時代に活動した作家、後期は太郎から影響を受けた作家の作品・活動に焦点を当てていました。
大きな広場をコの字型に小さな展示室が囲んでいて、部屋ごとに写真、建築、大衆文化などのテーマに沿った展示がされていました。
私が興味を持ったのは大衆文化をテーマにした部屋。主には大阪万博に関する展示で、太陽の塔をモチーフにしたキーホルダーなどのお土産品が無数に展示されていました。今でこそ、美術企画展のお土産コーナーは作品をモチーフにした様々な商品が並ぶ光景があたりまえになっていますが、それだってここ10年くらいのこと。それまでは、図録、ポストカード、ポスター、せいぜいクリアファイル、という程度だったともいます。太郎の作品は1970年に既にこれだけの商品を展開させてしまうモチーフだったという事実。意図せずに先駆者になってしまっていた太郎作品の造形の底力を感じました。
プチ情報としては、旧近鉄バファローズの水牛の角のエンブレムは太郎のデザインだったということをはじめて知りました。弟が小学校低学年の頃、あの野球帽をかぶっていたことを思い出しました。太郎デザインのキャップをかぶっていたのか。

他にも、万博当時、太陽の塔の目に篭城した男(実際にいたのだそうです)をテーマにした映像作品や太郎の書斎と題して蔵書を展示したエリアなど、それぞれに興味深かったです。建築エリアの今では失われてしまった都庁の壁画や有機的な建造物の模型なども、今も残っていたらと悔やまれてならないものばかり。

美術館を見た後は屋外の展示作品、「母の塔」を目指します。西日に照らされてそびえる塔。思ったよりも巨大でした。この巨大さを目の当たりにすると、益々、太陽の塔を見に行きたくなります。都庁の壁画のように、形あるものはいつかは無くなる可能性も無きにしも非ず。なるべく早い時期に見に行きたいという思いを新たにしました。
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by fumiko212 | 2011-08-21 20:28 | アート | Trackback | Comments(0)
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