人気ブログランキング | 話題のタグを見る

時間の小箱

時間の小箱_b0031055_2138534.jpg京橋のギャラリー椿さんでスコープ作家(とお呼びしてよいのでしょうか?)桑原弘明さんの展覧会を見てきました。

昨夜、ちょっとしたきっかけで知った桑原さんの作品。
丸いレンズの奥に見える誰もいない部屋。この感じ。好きかも!
早速、検索すると、職場の近くの画廊で個展が開催中。運命ですよ。早速、行ってきました。
久しぶりに新しいアートと出会って鳥肌が立ちました!すごいっ!すごいです。

薄暗いギャラリーに入ると、壁際に設えられた小さな棚に手のひらサイズの綺麗に磨かれた真鍮の小箱が並んでいます。のぞき穴から小箱の中をのぞくと…。
そこには、誰もいない六角形の部屋が1つ。4方にドアがあり、ステンドグラスの天窓、床は白と黒の市松模様の大理石。部屋には白い木馬、椅子、鏡、テーブルの上の林檎、双眼鏡、水晶のかけらなどの小道具たち。それが写真(ギャラリー椿さんのHPから拝借しました。)の作品。林檎は直径1mmという小さな小さな世界です。

そんな世界を覗き込むのがこのアートの鑑賞法。だけどそれだけではありません。予想もしなかった展開にただただビックリ。そして、その世界にグググーッと引き込まれました。この小箱の中には「時間」が閉じ込められているのです。

この作品は見なきゃわからない。だから、少しでも興味を持った方は是非展覧会に足を運んでください。ムットーニ好きの方は絶対に気に入ります。絶対に後悔させません!

場所は京橋駅からすぐですが、銀座でショッピングやランチの後に立ち寄れる距離、中央通りを京橋方面へ、首都高をくぐってすぐのところです。

桑原弘明 展
2008年12月6日(土)~20日(土)

GALLERY TSUBAKI GT2
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F
tel.03-3281-7808
a.m.11:00~p.m.6:30 日曜祝日休廊

スコープ作品公開は13時15時17時になります。


もし、これから、初めて桑原さんのスコープを見ようかな、と思われた方はこの先は読まないでください。あの、予想外の驚きを体験していただきたいので。

文章では伝わらないけれど、興味のある方は続きをどうぞ。。。





最初に小箱をのぞくと、写真のような明るい部屋が見えます。

次の瞬間、部屋が暗くなり、今度は奥の木馬だけが明るく浮かび上がります。
また、部屋が暗転。
そして左のドアの下の隙間から、隣の部屋の明かりが漏れます。部屋に夜が訪れました。
次の瞬間には右手前の開いたドアの隙間から鏡に映る外の風景が見えます。
また暗転。
今度は水晶だけが光に浮かび上がります。
最後は天窓のステンドグラスから光が落ち、木馬がぴかぴかに磨かれた大理石の床に映りこみます。

こうして幾通りにも部屋の中の光が変化し、そこに「時間」が生まれます。
それは朝から夜への1日の時間の経過だったり、何十年もの長い年月を超えたものだったり、そんな風に感じました。
誰もいない1つの部屋、そこにあるものは何も動かず、変わらないのに、ドアの向こうの人の気配や、ついさっきまでここに誰かがいたかのような生々しさ、そんなどこかに隠れている登場人物の息遣いが感じられる。

光の変化の仕掛けは小箱に空けられたいくつかの窓。作家の桑原さん自らが、ペンライトで小窓を順に照らしてくださると、上に書いたように部屋が様々に変化します。
この仕掛けが一辺が10cmにも満たない小さな箱の中にすべて詰まっているのです。想像を絶する精密な世界です。

作品集「スコープ少年の不思議な旅」を早速購入。こちらも素敵です。

今日は本当に素晴らしいアートと出会えました。
こんな偶然が重なった出会い。アートの神様に感謝です。

アートの世界にはまだまだ出会っていない素敵なものがたくさんあるんだなー。もっともっとアンテナを高く張らなくては。
by fumiko212 | 2008-12-11 22:48 | アート | Comments(6)
Commented by nagareboshi at 2008-12-11 23:32 x
こんばんはfumikoさん

私も以前、NHKの番組でこの方のアートが紹介されているのを見て
すごくムットーニっぽい!と思いました。
お名前は忘れていましたが、この小箱の世界は忘れてません(笑)
私も近々銀座に行くので、ちょっと覗いてみようと思います。教えていただいてサンクスです。

それから、もうご存知かもしれませんが…。fumikoさんは携帯はauですか?
今、auの携帯サイト、au styleマガジンでムットーニが紹介されていて…。
壁紙が配信されていたり、作品がWebギャラリーで公開されていたり
大変なことになっとります!
私はauなので、狂喜乱舞!!
Commented by fumiko212 at 2008-12-12 20:38
nagareboshiさん
お役に立つ情報でよかったです。是非ご覧になってみてください。
この方の作品、江戸川競艇場にもあるそうです。
ムットーニさんの祠と同じように専用のお部屋があるそうです。

そして、au情報ありがとうございます!
早速見て見ました。本当に大変なことになってます!
ウハウハとダウンロードしました。壁紙、日替わりで楽しみたいと思います!
Commented by nagareboshi at 2008-12-20 23:56 x
こんばんは。
18日木曜日の3時の回に行きました。
先日平日の6時頃に行き、木馬の作品だけは
見せていただけたのですが、やはり心残りで。
なかなか不思議な展覧会ですね。
それぞれの作品の前にお客さんが並んで
作者の方とギャラリーの方たちが懐中電灯で作品を照らし
解説をしながら見せてくれるという形で。
平日の午後でもお客さんが20人以上いらしていて
若い美術系の学生の方が多い感じでした。
桑原さんご本人の解説で作品を見せていただき
ちょっと緊張しました。
どの作品も印象に残りましたが「黙示の天使」が一番好きです。
Commented by fumiko212 at 2008-12-21 20:52
nagareboshiさん
いらっしゃったんですね!私も18日の5時~、もう一度見てきました。
「黙示の天使」素敵な作品でしたね。意外性があって。
今回の展示作の中では、「黙示の天使」が一番見え方の種類が多いそうですよ。天使が浮かび上がるところが素敵でしたよね。
私も、木馬の作品と「黙示の天使」は桑原さんに見せていただきました。
それもあって、この2作品がとても印象に残っています。
一番最初に見たのは入口の左側の壁にあった作品だったのですが、窓辺のキャンドルが灯ったときにガシッと心をわしづかみにされたのがわかりました。
Commented by yurico at 2010-11-15 09:11 x
土曜日は、お疲れ様でした~♪
この木馬!!ありましたね~。笑

文章中の「絶対」が続くところが、胸を熱くさせますっ!!

ほんと、すばらしい小箱の世界でしたっ♪
Commented by fumiko212 at 2010-11-16 22:07
yuricoさん
アートツアー引率ありがとうございました!
競艇場さんには今後もコレクションを増やしていただきたいです。一般に公開する気持ちのある方に買ってもらいたい。
帰ってきてから、yuricoさんのすぐ上のコメントに書いた「窓辺のキャンドル」が灯る作品は、もしかして一番右のだったかな?と思って、もう一回見たくなってます。またよろしくお願いします!


<< 4日目:6番街のナットクラッカー 3日目:「決心」されたMさんに捧ぐ >>