タグ:ベルリン・フィル ( 28 ) タグの人気記事

ベルリンフィル12人のチェリストたち@サントリーホール

日曜日に2年ぶりの12人のチェリストたちの演奏会を聴いてきました。今回も期待以上に感動の時間を過ごすことができました。
今回は2階席センターの中段辺りで室内楽を聴くには少し遠すぎるかな、という距離感だったのですが、1曲目の最初の音でいきない涙腺決壊。自分がチェロが好きすぎてどうにかなっているのかと思うほど感動してしまいました。
最初に「今回は40周年の記念のコンサートではありますが、その前に、昨年の震災犠牲者にささげるために1曲目にこの曲をプログラムしました。」とスピーチがありヴェルディのアヴェ・マリアが演奏されました。
1つ1つの楽器から音が出ているというのを感じさせないような、たとえるなら朝一番に真新しい花のつぼみが音もなく開いてあたりに香りが広がるように音がホールいっぱいに満ちていくような演奏。追悼の音楽だったのもあると思うのですが、静かな水面に蓮の花が開いたように感じました。どうしてこんな演奏ができるんだろうか。オーケストラでもソリストでも表現できない、こんな音楽表現ができるアンサンブルは世界に2つとないだろうなあ、、、と、もう胸がいっぱいで。きっと、これがサントリーホールの素晴らしさでもあるのかもしれないです。

今回のプログラムは1部と2部の前半で、12人のチェリスト結成当時から演奏されていた曲が演奏されました。CDでも聞いたことのない曲ばかりだったのですが、1部で演奏された12人のチェリストたちのために作曲されたというボリス・ブラッヒャー作曲「12の独奏チェロのためのブルース、エスパニョーラ、ルンバ・フィルハーモニカ」という曲、それから12人のチェリストたちが発足するきっかけとなった曲というユリウス・クレンゲル作曲「12のチェロのための<讃歌>作品57」、どちらも素晴らしかったです。曲としても演奏も。
ブラッヒャーの曲はアヴェ・マリアとは対照的に12のチェロ、それぞれの音色が際立つような演奏。ピチカートや弦を弓でたたいたりボディを叩いたりとチェロで出せるあらゆる音が聞こえてきます。緊張感がピンと張りつめたエキサイティングな曲だった。現代音楽を聴いているときに私が陥りがちな、この曲どのくらい続いてたっけ?となりそうな曲でもあるのですが、演奏が素晴らしいので最後まで変化に富んだ曲の世界に引き込まれました。どのくらい続いてた?となるのは曲のせいではなく、演奏者のせいであることも結構多いので、やっぱり現代音楽はうまい人で聴くに限るなあというのも再確認。
2部の1曲目だった<讃歌>は夜明けを連想させるような導入が素晴らしかった。クレンゲルはニキシュ、フルトヴェングラー時代に活躍したチェリストでもあったそうで、チェロへの愛があふれている曲でした。
休憩時間に大混乱のCD売り場で店員さんを捕まえて、ブラッヒャーの曲が入っているCDがないかを尋ねたところ、現在のメンバーでは出ていないけれど古い輸入盤であるとのこと。初めて見るCDでした。外側からは収録曲もわからない状態だったのですが、帰りにライナーを見てみたらクレンゲルの讃歌もほかに演奏されたダヴィッド・フンクの組曲も入ってる!いい買い物ができました。

2部の後半はポピュラーソング中心のプログラム。この前の「題名のない音楽会」に若きチェリスト宮田大さんが出演して「チェロは歌う」という特集をしていましたが、チェロは美しいメロディラインを持ったポピュラーソングを演奏するのにも適した楽器なのです。特に印象に残っているのはビートルズのミシェル。知っているメロディなんだけど、改めてポール・マッカートニーのメロディメーカーとしての才能が存分に発揮されている曲なんだということを感じました。(クレジットはレノン、マッカートニーだけど、確かミシェルはポールなんですよね?)などとウザく語るまでもなく、とにかくグッとくるメロディなんですよね。それをチェロで演奏した日にはもう、、、グッとくるの3乗くらいググッときました。この曲、ヤマハの教則本に入ってくれたらいいのになあ。あ、ただ、一つだけ不満だったのはこの曲のイントロはやっぱりピチカートにすべきでしょう!ということ。ちなみに編曲は三枝成彰氏(彼と作ったCDも出ているそうな、、、)。ビートルズはそれこそいろんな人が無数のアレンジで演奏していますけど、オリジナルに忠実なのが正解だと思ってしまう。

アンコールではピアソラのタンゴや昨年のベルリン・フィルのファミリーコンサートでも演奏されていた「ピンクパンサーのテーマ」など。客席から笑いが漏れるような楽しい演奏でした。アンコールのラストは滝廉太郎作曲「荒城の月」でした。「題名のない音楽会」でも宮田さんが独奏され、それも素晴らしかったのですが、12人による演奏はまた違った美しさがありました。このメロディも先ほど書いたミシェルと同様にグッとくる。いや、グッとくるとはもう少し違う、もっと心の奥底に語りかけてくるようなメロディ。これは好き嫌いを超越した日本人にとっての永遠のソウルミュージックだと思いました。
特にコメントはありませんでしたが、2年前と同じくステージ脇の席で鑑賞されていた天皇皇后両陛下にささげられた演奏だったのだと思います。この曲の美しさを12人のチェリストも感じ取って演奏してくれているのが嬉しく、コンサートの最後にまたじわっと涙が出ました。
実はこの曲、チェロを習い始めて最初に習う2つのポジションだけで弾ける曲ということでテキストの最初の方に出ている曲なのです。宮田さんの演奏はまさにこのポジションだったので、あれを聴いてから練習のたびに私も弾いていました。日本人の心のどこも揺さぶらないヘボ演奏ですが、、、それでも何となく弾くことがうれしい曲なのです。

横道にそれつつ書いてきましたが、最後に、Youtubeにアップされた「アヴェ・マリア」の演奏をシェアします。コンサートの演奏ではなく、きっと開演前に録画されたものだと思います。この演奏が12人のチェリストのYoutubeチャンネルの最初の動画となったそうです。できればPCのスピーカーではなくちゃんとしたスピーカーで聴くことをおすすめします。


[PR]
by fumiko212 | 2012-07-04 02:31 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

"Cello Christmas" with the 12 Cellists of the Berliner Philharmoniker

先日のエントリで紹介したベルリン・フィルのファミリーコンサート、英語吹き替え版がすでに公開されているようです。
Youtubeにアップされていたトレイラーをどうぞ!


[PR]
by fumiko212 | 2011-12-19 21:40 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

ベルリン・フィルのファミリーコンサート

先ほどまでデジタル・コンサート・ホールでライブ中継されていたベルリン・フィルのファミリーコンサート、ご覧になりましたか?
今年はベルリン・フィル12人のチェリストたちをフィーチャーしたプログラム。
サンタ帽を被ったチェロケースが両脇に並ぶ(チェロケースってこんなに人っぽかった?笑)ステージにチェリストたちが勢ぞろい。司会は昨年に続きホルン奏者のサラ・ウィリスさん。もちろん演奏もなさいます。
中盤で白い衣装にきらめく雪の結晶を付けた子供たちが自作の色とりどりのチェロを携え登場し、ショスタコーヴィチのワルツに合わせて踊ります。最初から最後まで笑顔になった顔がそのままで見ていました。子供たちが作ったチェロを見て、ちょっと泣きそうになった。
数日後には英語版がアーカイブに公開されるそうです(そこだけ英語で言ってました)ので、ぜひご覧になってください。このコンサートは無料で視聴できます。(調べていませんが、後日もしばらくは無料で見られると思います。)

下の画像は北京のホールで行われたリハーサルの様子。本番では客席の子供たちが結構にぎやかなので、音はこちらのほうが良いくらいでした。ショスタコーヴィチのワルツ、チェロでできるんですね~。きっと、今はまだできないんだろうけど、いつかやってみたい。


12月のファミリーコンサート、昨年はウィンド・アンサンブル+チェレスタ+コントラバスによる「くるみ割り人形」でした。この時も白い衣装の子供たちが舞台いっぱいに登場してかわいらしいダンスを披露してくれました。なんと、このコンサートは今でも無料で視聴できます。こちらもぜひご覧になってください。コンサートとしてはこちらのほうが楽しめるかな?

子供のための《くるみ割り人形》
[PR]
by fumiko212 | 2011-12-04 01:55 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

終演後のお楽しみ♪

フワフワした気分でホールを出る前に化粧室へ立ち寄ったところ、最後列の札を持った係りの人が見えた。ん?これはもしかしてサイン会とかあるの?てことで当然並びましたよん♪
CD購入者が対象ということで(毎回思うんですが、あれってチェックしてないですよね。手ぶらで並んでもお咎めなしな気がする。。。)フルートのエマニュエル・パユの聴きたかったCD(この時テレビで聴いたカルメンが入ってる。)をゲット。最近、こういうときしかCD買ってない気がする。

その前に、客席を出たところに今日のホルン協奏曲を作曲された細川先生がおられて、サインをもらっているお兄さんがいたのでその横にヒタヒタっと近づいて行ってちゃっかりサインをいただいてしまっていたのでした。ええ、そのお兄さんの持っていたサインペンを拝借して。お兄さんにこれだからおばちゃんは、、、と思われただろうなあ。すいません、すいません。

本日のサイン会に登場してくれるメンバーは、ホルン奏者のシュテファン・ドールさん、コンマスの樫本大進さん、クラリネットの首席奏者の方(お名前わからなくてすみません。)、フルート首席奏者のエマニュエル・パユさんという豪華メンバー。パユのCDしか買ってないけど皆さんにサインしていただけるのです。素敵。

最初にホルンのドールさん。先ほど細川先生にサインしていただいたホルン協奏曲の解説が書いてあるプログラムのページに一緒にサインしていただこうとそのページを差し出すと、あれ?というお顔をされ、「おお、俊夫のサインだね。」とにっこり。「えへへそうなんです。」と私もにんまり。
次は大進さん。お若い方なので「大進君」と呼んでいましたが、この日の全ステージを通してのコンマスとしてのお仕事ぶりに感動し「大進さん」とお呼びしたいと思いました。
そうそう、そうなんです。先日、NHKの「名曲探偵アマデウス」という番組で、コンマスはどういう風に仕事をしているのか、という特集があって、コンマスの仕事について非常にわかりやすく解説してくれていたので、今回はコンマス大進さんにも注目しながら聴いていました。演奏が始まる前の短い時間に笑顔で各パートとアイコンタクトし、演奏中はラトルの指揮の概念を体を使ってオーケストラに伝えていく。例の音がばらけたときもパッとコンマスを見てしまったのですが、さっと体を起こしてオーケストラ全体に自分が見えるようにしているかのように見えました。これも私の妄想かもしれないけど。
唯一日本語でお話しできる方なので、興奮冷めやらぬ状態で「今日の素晴らしさを体験してベルリンに行く決心がつきました。」と思わず言ってしまいました。(「聴きに行く」と付け加えなかったので、は?というお顔をさせてしまいましたが、、、)
プログラムにサインをしていただいたのですが、さらにもう一つiPhoneの裏にもサインをいただきましたよ。「え?いいんですか?もったいない。」とおっしゃっていましたが、実は先日NNHのサイン会の時に隣でiPhoneに小曽根さんのサインをもらっている人がいてすっごくうらやましかったのです。すでに4sが入荷しているという連絡を受けていて3GSを持ち歩くのはこの日が最後だったのですが音楽の魂を入れてもらったような気分です。さらには4sを黒にしてしまったことをすっごく後悔しました。これじゃあサインしてもらえないじゃん。
いや、お時間を取ってしまってすみません、という感じでお次はクラリネット奏者の方。その前でもたもたしてたので、さっとプログラムを持っていかれてサインされちゃって自分が後からプログラムを追いかける感じに。汗
パユさんにもその流れでプログラムにサインが入りましたが、CDも持っていたので「CDもね」とサインしてくださいました。パユさんにも「ベルリン行きますから!」と思わず言ってしまった。「待ってますよ。」とにっこりと言ってくださる。「題名のない音楽会」の時のままの気さくそうなお話しぶりでした。

というわけで、ミーハー心も十分に満たされて、今度こそホールを後にしました。こんな話まで書いてすいません。

b0031055_21152269.jpg

[PR]
by fumiko212 | 2011-11-27 21:09 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

ベルリン・フィルの姿

休憩を挟んでブルックナー9番。
曲については何も書けないので、目で見て耳で聞いた私の印象に残っていることを書きます。

この曲で一番好きなフレーズは第2楽章で何度か繰り返される短い休符に続いて始まるオーケストラ全体が同じ旋律、リズムを力強く刻む部分。ここがかっこよくてすごい好き。ここを聴くのが一番楽しみだった。
予習で聴いていたウィーンフィルのCDでは微妙にトロンボーンらしき金管楽器がリズムに乗りきれてないのが気になってた。ベルリンフィルはどんなふうなのかしら。。。

曲が始まると冒頭の大迫力のあのメロディーを超えたところで、すでに第1ヴァイオリンの弓の毛が切れてひらひら舞っているのが目に入った(それも2人も)。
先々週のチェロレッスンで、近頃話題のチェロ2人組のことを先生が話されたのだけど、弓の毛が切れるのはかっこいいことでもすごいことでもないので真似しないでね、切れるってことは余計な力を入れすぎて音は乱れているということだから、というようなアドバイスがありました。あれにあこがれておかしな方向に行っちゃわないでね、ということでおっしゃったのだと思います。チェロ2人組の方たちはパフォーマンスとしてわざとあのような演奏をしていると思うので、弓の毛が切れるなんてダメな演奏だ、という意味でもないとは思うのですが、それでもググッと力が入った時に起こる現象だということ。
第1楽章のあの重ーい歪んだ音を出すというのは音が割れてしまうギリギリのところまで力を入れてるんだなあ。ベルリンフィルであっても。

そんなことが頭をよぎりつつ、曲は2楽章へ。いよいよだ。私のワクワクは最高潮。
休符の後の入りは、聴き手側もぐっと力が入る緊張があるのだけれど、楽章の中で4回繰り返されるこの部分の2度目に私の耳でもわかる乱れがありました。多分、管楽器と弦楽器だったと思うのですが、2つの音が休符の後バラバラッと早く入ってしまったんです。あ、いかん!という感じで私が焦ってしまった。ベルリンフィルでもこんなことあるの?むしろこの程度はOKなの?と思ったのですが、やはりよくなかった様子。オーケストラがここでビクッとなったように感じました。ここから先は二度とあってはならない、という気迫の表情が第2ヴァイオリンの最後列まで伝搬していて、オーケストラの気持ちがギュッと凝縮されたように感じました。(全部私の妄想かもしれませんが。)その時のラトルは平常心のままのように見えた。3度目の同じフレーズの入り、休符の後、オーケストラが一斉に息をスッと吸い込む音がそれまでよりもずっと大きく聞こえ、その瞬間にたくさんのことが私の胸に迫ってきた。

ベルリンフィルといえば、指揮者をもビビらすプロ集団。最近では佐渡さんが定期公演を指揮したときのリハーサルを取材したドキュメントが公開されましたが、佐渡さんサイドから見たベルリンフィルは泣く子も黙るという感じで、とにかく指揮者を値踏みしてダメと判断されたら次はない、というような切羽詰まった雰囲気。安永さんの対談でも、指揮者がダメだと楽団員たちがリハーサルの休憩時間などにコンマスに「何とかしてくれ」と言いに来るそうで、そこである程度調整してもダメとなると団員たちはコンマスを見て演奏を始めるらしい。すると演奏がよくなっていくという。これ、気の弱い指揮者が読んだらもう指揮台になんて上がれませんよ。

そんな話を見聞きして、ベルリンフィルはどんな曲でもスイスイとできてしまう人たちなんだろうなと思っていると、一方で団員たちへのインタビューで構成されていたドキュメント映画では、彼らは一様に毎回すごいプレッシャーで押しつぶされそうだという。自分はいつこの集団から脱落してしまうんだろうか?どんなに練習しても安心できない。といつも恐怖におびえているようなことを言っている。

このギャップはなんなんだ?

3年前の来日公演を聴いた人たちが書き込みしてるのをmixiか何かで読んだときに、あまり良くなかったと書いている人が少なくない人数いて、中にはそもそも日本なんかでベルリンフィルは本気出さない、と書いていた人もいた。まあクラシックマニアの人たちはすんごくいい耳を持ってCDとかも聴きこんでいるのだろうから、そういうことなのかしらねえと感じたりもしたけど、今回自分の耳と目で確かめて確信したことは、たとえベルリンフィルであっても生半可な集中力ではオーケストラの演奏というのは成り立たないということ。もしそのような気持ちであの場にいたら、聴衆には気づかれなかったとしても隣に座る仲間に気づかれてしまう。そんなことしたらこれから先仲間の信頼や尊敬を失ってしまうことになる。その恐怖をだれよりも知っているのが彼ら自身なんだ。

鬼気迫る集中力を目の当たりにして、天才がさらに生半可でない努力をし、それでも全身全霊をかけて集中しなければ振り落とされてしまうという恐れを持って存在している。それがベルリンフィルの本当のすごさなんだと。私は本気で感動していました。

その短い休符の後に続く旋律は完璧に同期し、オーケストラが一つの楽器になってリズムを刻んでいた。
(去年の第九の練習で先生が何度も「指揮に合わせようとしたらだめだ。」とおっしゃっていたのは、つまりはこういうことだったんだというのも本気で理解しました。)

そこからは、音楽の中に客席も飲み込まれて一つのうねりになっていき、第3楽章は頭でぐるぐる何かを考える瞬間もなく音楽の中にひたすらに身をゆだねていた記憶しかありません。

すべての演奏が終わって会場を後にする私の頭の中には、次はベルリンのフィルハーモニーで彼らの演奏を聴かなければ、という決意がありました。

彼らは私にとってのスーパースターであり、音楽の神様に愛された人であり、そして生身の人間だった。それを自分の目と耳で確かめることができて本当によかった。
[PR]
by fumiko212 | 2011-11-27 18:17 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

至高の時間が訪れた

ホールに入ると、さっきまでやたら目についたブランドバッグの人たちは気にならなくなっていました。そっか、ここはB席だものな。
実はチケットを購入した時は相当ぶーたれてたこのB席、その後この席じゃいやだ、という思いは払しょくされていました。というのは、藤原真理さんのエッセイを読んだ際にサントリーホールで彼女が好きな席としてあげていた場所がその私のB席だったから。その席がどういう席かということが書いてあり、その良さを私の耳で感じられるかという不安はあるものの、それこそ最高のプラシーボ効果が得られそう。さらにはコンサートの途中に思い出したのですが、かつて父がN響定期のBプロで持っていた席が確かこの辺りだったと言っていたことを思い出しました。いつも、すごく面白い席なんだと自慢していて、そうか、父も真理さんのエッセイを読んでこの席を買ったのかもなあと思ったりしました。

この日はコンサートの前にユニセフのセレモニーがありました。ドイツの子供たちが東北の被災地の子供たちに宛ててメッセージ、絵画、俳句などを贈ってくれたそうで、それらをまとめた本の贈呈とユニセフからベルリン・フィルへの感謝状の贈呈式が行われました。この時点でステージ上には楽団員が登場していたのですが、ふとテレビ画面の中で何となく顔を覚えていた団員の方々が目の前に、、、ということに気づいて、まるでロックスターか映画スターを目の前にしたファンのようにキャー!とテンションが上がっている自分に気づきました。ホント、私にとっては彼らはスターなのだなあ。いやー、興奮してきた。

セレモニーが終わり、一度ステージを降りたラトルが登場。何のためらいもなく1曲目のラヴェルが始まりました。そしてすぐに、この席が真理さんの言うとおりの席だと実感。1つ1つのパートの音がものすごくクリアに聞こえてきます。ああ、真理さんありがとう。読んでいなければそんな風に聞こえなかったと思う。オーボエとイングリッシュホルンの音がとてつもなく美しく響いてる。木管の音が素敵だ。、私のいる場所だとあっちこっちが気になって曲を塊として聴けていない気もして、ふとラトルを見ると、おお、すごい、オーケストラが1つの楽器になっているってこういうことなのか、と思えたり。いやもう忙しくワタワタしているうちにあっという間に1曲目が終わってしまって、何を舞い上がっておるのだという状態。でも、この後の席の移動やらを待つ時間で少し落ち着けました。

さて、いよいよ問題のホルン協奏曲が始まります。解説によると、ソリスト以外のホルン奏者2人とトロンボーン1、トランペット1が客席に散って演奏するとのこと。2階のLC、RCのバルコニーのところにホルンが1人ずつ、LA、RAのドアの前にトランペットとトロンボーン奏者が立っています。「開花の時」というタイトルがついたこの曲は蓮の花の開花を表現しているのだそうで、オーケストラが水面を、ソリストが花を表しているのだそうです。ピアニッシシシモ(?)の弦のハーモニクス(多分、、、)のロングトーンで曲が始まりました。その瞬間に会場の空気がガラリと変わりお客さんの集中力が急速に高まっていくのがわかりました。オーケストラの集中力がすごい。それが客席にもビシビシ伝わってくるからこちらも背筋が伸び、全身でその音を受け止めようとする。
以前読んだN響オーボエ奏者茂木さんのエッセイに、演奏会の成功はオーケストラだけがどんなに頑張っても得られるものではなく、その演奏を客席が受け止め返すことで演奏がよりよくなっていく、とありました。そういう空気が生まれつつあるのが肌で感じられました。
私がこれまでホルンという楽器に持っていた印象も大きく変わりました。うねるような音を出すソリストと、2階席バルコニーから聞こえてくる派手なギラついた音は、それぞれが同じ楽器とは思えない違った色をしていました。ちょっとサックスに近いような音色に感じた部分もあったり。その音の応酬を聴いていると、クラシックというよりはむしろジャズっぽく聞こえるような場面もありました。いいぞいいぞという感じ。
このままどこまでも続いていきそうな激しくうねった音楽が再び静かな弦のこすれる音とともに収束していく最後の部分は、夢から覚めるていくような覚醒の時間を経て、再び現実の世界に戻っていきます。しばらくあの世界にとどまっていたいという思いを残しながら。
普段はあまりないのですが、音楽を聴いていて、目の前の空間に何かが見えてくるような体験をすることがあります。この曲を聴いているときも、一つの空間作品を体験したような、確かに何かを見ていたような、不思議な感覚が残りました。
ラトルがゆっくりと手をおろし、オーケストラが楽器をおろすまで客席は微動だにせず見守っていました。
本当に素晴らしい体験だった。
日本の客も本気出すとすごいんだ、と誇らしかった。それはやはり日本の作曲家の作品だったということも大きいように思いました。なんというか、皆さんならこの世界わかるよね、うんわかるわかる、かつて見た世界のように思う、というやり取りがあったような。多分私の思い込みだけど。
そして、偉大なマエストロであるラトルも、世界最高峰の演奏家集団であるベルリン・フィルも、この曲の世界を再現することにひたすらに忠実であり真摯であったように思いました。それは作曲家だけが描いたヴィジョンなのではなく、それが全員に共有されて意志を持って再現されていたような。
演奏が終わって、客席後方から作曲家の細川さんが舞台に招かれ、オーケストラを含めた会場中の称賛の拍手が沸き起こりました。その時私は心からこの偉大な芸術家に「ありがとう」という気持ちで拍手を送っていました。
b0031055_7175642.jpg

(写真は公式ブログから拝借しました。すいませんっ。)
さて、休憩を挟んで、最後の曲、ブルックナーの9番です。 つづく
[PR]
by fumiko212 | 2011-11-26 01:19 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

3年分の思いを胸に

このブログでベルリン・フィルについて初めて書いたのが2008年11月のことでした。
テレビでベルリン・フィルの演奏とは知らずに聞いたオーケストラの演奏に心を奪われたあの日から3年の月日が流れたこの11月に、やっと、やっと、ベルリン・フィルの音楽を生で聴く日が訪れました。

3年前のあの日、プラシーボ効果なしには音楽の良し悪しなんてわかんないだろうなーという私の耳でもその良さを聴きとれたのがうれしくって一気にファンになりました。
その後もテレビやラジオでコンサート中継をやっているのを聴いたり、デジタル・コンサートホール(インターネット中継)の無料視聴でいくつかの定期演奏会を聴いたりしてベルリン・フィルの音楽に接してきました。夢中になって聴きまくっているというほどではなく、折に触れて、という程度でしたが。
演奏以外にもドキュメント映画を見たり、元コンサートマスターの安永徹さんの対談集を読んだり、その安永さんの演奏会やベルリンフィル12人のチェリストたちの演奏会に行ったり。さらには、あのコンサートで見た8本のチェロとソプラノ歌手で演奏されたヴィラ・ロボスのブラジル風バッハ5番の素敵さにそれまで漠然としていたチェロ習いたい思いが臨界点まで達してしまいチェロまで習い始めちゃった。そうやって小さくいろんな変化が起こっていたこの3年でした。こうして外堀はかなり埋まってきていたんですが、やっぱり本丸は遠い。

震災直後のラトルからの日本へのお見舞いメッセージの中で11月には日本公演を行うというコメントがあって、それでも自分は行けないような気がしてた。チケットを取るのも大変そうだし、チケット代はきっとすごく高いだろうし、、、と。
詳細が発表になると思った通りの高額チケット。今となっては高いけど不当に高かったとは思わないけど、1回のコンサートに数万円というのは私の金銭感覚ではどうしても尻込みしてしまう。
そうこうしている内に販売各社が優先エントリーを受け付け始めたので、選べる席種の中で一番安かったB席にエントリーしてみた。本当に絶対に行きたければ、一番席数が多いS席にエントリーするんだけど、まあ取れなきゃそれで諦めつくし、むしろ取れなくてもいいやという気持ちが半分。案の定、チケットは全部落選して、一般発売当日。これもダメもとでインターネット販売のサイトにアクセス。まあつながらないだろうなと適当にいじっているとB席が1枚だけ出てきた。3万円も出してそこですか?という場所。どーしよっかなあと保留にしているつもりだったら、どうもそれは購入確定ボタンを押した後の画面だったらしく、結局チケット購入していた。そんなこんなでかなり消極的な感じでチケット入手。

それでも、自分なりに行きたいプログラムの日を購入しました。演奏するのは3曲でラヴェルの短い曲と細川俊夫さんという日本の現代作曲家のホルン協奏曲の日本初演、そしてブルックナーの9番。
ブルックナーの9番は、丁度その3年前にサービスが始まったデジタル・コンサート・ホール(ベルリン・フィル定期演奏会のライブ・インターネット配信サービス)のプロモーション映像で流れていて、何度も何度も聴いて耳になじんでいた曲。さらに日本初演のホルン協奏曲というのも魅力的。以前も書きましたが、在京オケの定演に行っていると日本初演の楽曲を偶然に聴けることがあるのですが、そういうコンサートは印象に残ることが多く、いつもいいもん聴いたなーと思えていた自分を思い出していました。もちろん、予習できない知らない曲を聴くというリスクもあるのですが。
などとかっこよく(もないか、、、)書いてますが、コンサートホール前の広場に着いた私は全然前向きじゃなく、最近では珍しい趣味の悪いブランド物のバッグを持った人がやたら多いことが気になって仕方なかったです。やっぱ、こういうコンサートは金持ちの道楽なんだろうか、、、なんて思ったりして。

いや、でも、この日本初演の曲がツアーのプログラムに入っているというのは私にとってはかなりうれしい材料だったことは事実です。

以前にデジタル・コンサートホールで見た定期演奏会の中で印象に残っているプログラムがあります。
ひとつはウィントン・マルサリス率いるジャズ・アット・リンカーンセンター・オーケストラと共演したコンサート。アンコールではオケ団員も即興演奏に加わって大ジャムセッションになったすごいコンサートでした。
それからもうひとつ。これは実は全編通して視聴してはいないのですが、ピーター・セラーズ演出による超斬新なマタイ受難曲。客席まで使って演奏者が動き回りながら演奏をしている、まるでストレートプレイのお芝居を見ているようなクールな演奏会で、これ時間があったら全編見ようと思っていたことを思い出しました。

そういうコンサートを見るたびに、やっぱり地元で定演を聴いてこそのベルリン・フィルなんだなーと思っていたのです。こういうのも演ってしまうのがベルリン・フィルの懐の深さ、かっこよさ、私がベルリン・フィルかっこいいと思うポイントです。
でも、そういったプログラムを海外ツアーに持ってきてくれるということはあまりないんじゃないかな、と思っていたのです。(実際はどうだか知らないですけど。)

これくらいグダグダ考えないと行く決心がつかないくらい、私にとっては高いチケット代でした。

さて、いよいよ演奏会が始まります。 つづく
[PR]
by fumiko212 | 2011-11-26 00:08 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

音楽の神様からの贈り物

今日は待ちに待った「ベルリンフィル12人のチェリストたち」の東京公演の日でした。

1つ目の音を聴いた瞬間、この世のものとは思えない美しい響きに、ジワッと涙がこみ上げました。ホール全体が1つの楽器のように響いてた。ソリストの出す音とは違う、アンサンブルの包み込むような響き。天国にいるというのはこういうことなんじゃないだろうか。世界中のありとあらゆる美しいものの中で、私にとってもっとも美しいもの。それが今日聴いた音楽でした。大げさじゃなく、今まで聴いた音楽をすべて思い出してみたんだけど、どれよりも美しかったです。

演奏された楽曲は、声楽曲(12パートに分かれた無伴奏混声合唱曲)をチェロ用にアレンジした珍しい曲から、タンゴ、シャンソン、映画音楽、ジャズまで、ポピュラーなものが中心ですが、最高の演奏技術と表現力、そしてアレンジの素晴らしさ、それから12人のチームワークのよさがにじみ出た演奏でした。リードがめまぐるしく変わる様子や、メンバーがアイコンタクトをかわしながら演奏する様子はビッグバンドのジャズを聴いているようだったり。人によってチェロの音色がガラリと変わり、それぞれの個性が程よく交じり合う感じも心地よかったです。こんなにも多彩な表現ができる楽器なんだ、と発見も多かったです。オーケストラの中のチェロパートは低音を担当していることが多いし、ソロになると高音中心になりますが、今日はありとあらゆる音を聴けました。素敵だったー。

休憩時間に上手側の2階席に天皇皇后両陛下がお見えになりました。とても不思議なのですが、それを境に、客席がピリッと締まったんですよね。前半は咳きこむ人がやけに多くてちょっとざわついた空気があったのですが、いいコンサートにしたいという思いで会場が1つになったように感じました。変な緊張ではなく、見守られている、という空気に会場が包まれていたような、不思議な空気でした。ああ、皇族の方の存在ってこういうものなんだな、と肌で感じたといったら大げさかな。

コンサートの終盤からアンコールにかけては、私が一番良く効いているアルバムからの楽曲だったのでさらに盛り上がりました。ラストはリーダーのクワントさんが「美智子様に捧げます。」とスピーチされてから演奏された「白鳥」でした。メンバーの1人がピアノ伴奏をつけ、11人が同じメロディを奏でました。ふたたび涙がジワーッとあふれました。いつかこの曲を弾ける日が来るのだろうか。

終演後のサイン会は、とても慌しい環境でしたが、今日の演奏が素晴らしく、感動して、皆さんに感謝していることを何とか英語でお伝えしてきました。自分のモチベーションも上がりまくって、もっと練習するぞ!の思いも新たに帰路に着きました。

チェロの音色の美しさに、とにかく感動しっぱなしで、チェロを習い始めて本当に良かった、といろんなめぐり合わせに感謝し通しでした。
[PR]
by fumiko212 | 2010-07-04 20:57 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

ドゥダメルを聴こう!②

ベネズエラ出身の若き指揮者グスターボ・ドゥダメルの演奏が近々放送されます。

一つ目は今年の3月にベルリン・フィルの定期演奏会に登場したときの録音。
このプログラムを見つけたときは、どうにかいけないものかとかなり真剣に考えました。チケット発売日を手帳にメモしたくらいに。しかし、その頃、気軽に休める身分でなかったので断念。
3日間行われた演奏会のチケットはすべて完売でした。

ベストオブクラシック -ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団特集-(3)
2009年8月12日(水)午後7:30~午後9:10
NHK-FM

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:グスターボ・ドゥダメル

ラフマニノフ「交響詩“死の島”作品29」
ストラヴィンスキー「バイオリン協奏曲 ニ長調」 (バイオリン)ヴィクトリア・ムローヴァ
プロコフィエフ「交響曲 第5番 変ロ長調 作品100」

収録:2009年3月7日 ドイツ・ベルリン フィルハーモニー


演奏会のダイジェストをYoutubeに見つけました。


もう一つは、何度か再放送されていますが、昨年12月に来日した、ベネズエラのユースオーケストラのトップ集団、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラの来日公演です。

2009年 8月23日(日)午前6:00~
NHK BS-hi

管弦楽:シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ
指 揮:グスターボ・ドゥダメル
1. バレエ音楽 「ダフニスとクロエ」 組曲2番 ( ラヴェル作曲 )
2. パカイリグアの聖なる十字架   ( カステジャーノス作曲 )
3. 交響曲 第5番 ホ短調 作品64 ( チャイコフスキー作曲 )

収録:2008年12月17日 東京芸術劇場


お時間が合う方は、是非聴いてくださいね!

ところで、これも備忘録ですが、

NHK BS2
2009年 8月24日 (月)  01:00~04:15 カラヤンの芸術
歌劇 「ばらの騎士」    ( R.シュトラウス )

というのがあります。来年の元旦の予習に録画しておこうかなー♪エヘヘ。
[PR]
by fumiko212 | 2009-08-10 20:21 | 音楽 | Trackback | Comments(6)

ドゥダメル指揮 ベルリン・フィル ワルトビューネコンサート2008 今夜再放送

昨年11月にNHK BS-hiで放送された、ベルリン・フィルのワルトビューネ・コンサート2008が、今夜BS2で再放送されます。

ベルリン・フィルのワルトビューネ・コンサート 2008
指揮:グスターボ・ドゥダメル
ソプラノ:アナ・マリア・マルティネス

5月11日(月) 1:00~2:29 ※今夜の深夜1時~です。
NHK BS2


このコンサートの放送を見たときの興奮が今でも忘れられません。
これをきっかけに、クラシック音楽を以前よりも積極的に聴くようになったし、ドゥダメルというすごい指揮者がいることも知れたし、そこからベネズエラの音楽教育プログラムやシモン・ボリバル・ユース・オーケストラに興味を持ったり(来日公演にも行きました)、ついにはチェロを習い始めちゃったり、自分の興味の幅をぐぐっと広げてくれたコンサートです。
是非、だまされたと思って、見てみてください!

ところで、その、すごい指揮者、グスターボ・ドゥダメル。先日発売されたTIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたのだそうです。2009/10年シーズンからはロサンゼルス・フィルの音楽監督に就任するドゥダメル。これから先、どんなキャリアを重ねていくのでしょうか。楽しみです。
[PR]
by fumiko212 | 2009-05-10 17:51 | 音楽 | Trackback | Comments(2)