カテゴリ:アート( 138 )

デトロイト美術館展

b0031055_20330655.jpg家を出るときはゴッホ展を見るつもりが、都美術館に付くと長蛇の列。何で~?と渋々並ぶと、係りの人が年齢のわかるものを出して待てと。何で?なんと今日は月に一度のシルバーデー。65才以上無料の日なのだとか!!ガーーーン。交通費をかけてきたからこのまま見るか、帰るか。。。いや待て!デトロイト展だ!
ということで急遽予定変更して見て来ました。閉館がゴッホ展より1時間早いため1時間ほどしか見られないけど、作品数52ということなのでゆっくり見られるはず。まだ見ていないゴッホ展のチケットで100円割引してもらい入場です。

展示されているのは僅か52点。ルノワール、ドガ、モディリアーニ、ピカソなど、複数の作品が展示されている画家もいるので、画家数はもっと少なく、かなりこじんまりした展示だったと思います。それでも満足度が高かったのは、展示作が厳選されていたからだと思いました。これがデトロイト美術館の特徴なのか、今回の展示作品を選択したキュレーターのセンスなのかわかりませんが。例えばセザンヌは、水浴、サンヴィクトワール山、妻の肖像、静物の4点。ピカソは薔薇色の時代、キュビズムの初期と後期、新古典主義、ドラマール、ジャクリーヌの肖像の6点。それぞれ、画家のエッセンスを感じられる作品が並んでいました。

対象の時代が、印象派、ポスト印象派、エコールドパリ、と私の好きな時代だったのも満足度が高かった理由です。この辺りの時代を順に見ると、セザンヌを境にガラッと絵画表現が変わったことを目の当たりにすることになる。それが最近はやっとハッキリと理解できるようになりました。上記の3つのカテゴリーに加えて、20世紀のドイツ絵画というコーナーがあります。そこだけちょっと異質に感じたのですが見ていくとここもやはりセザンヌ以降を感じさせる作品が並んでいました。それも含めて、四角い平面をどう埋めるかという分野においてセザンヌを越える画家はやっぱりいなかったのかも?今回の出品作ではそれを感じました。

ゴッホの作品は2点あり、ポスターになっている自画像の他に、晩年のオーヴェール・シュル・オワーズ時代の作品があり、始めてみる作品でした。これが私好みで、この1枚を見られただけでも来た甲斐があったと思えました。
b0031055_20330818.jpgオワーズ川の岸辺、オーヴェールにて
というタイトルがついていました。絵の横の解説にはトゲトゲした木の葉が不安感を与えると書いてあったのですが、私はそうは思わない。手前に浮かぶボートの影が深い青緑の水面に黄色く映るのを見たゴッホがこの風景を描こうとキャンバスに向かったときのワクワクする気持ちがありありと感じられました。その後ろに青、赤、緑、とお互いを引き立て合うように色とりどりのボートが並び画面の半分を埋めつくし、それを引き立てる背景としての青々と繁る木々(この青緑が水面に映っているのですね)が描かれている。そういう絵だと思いました。晩年のゴッホは確かに病んでいたかもしれないけれど、絵を描くときはいつも生き生きとした喜びに溢れていたと思うのです。この絵からもそれが感じられました。

シルバーデーのお陰でよい展覧会を見ることができ、満足な日になりました。
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by fumiko212 | 2016-11-16 16:56 | アート | Trackback | Comments(0)

地球を彫る~モエレ沼公園

札幌でもうひとつ行ったアートスポットはモエレ沼公園。イサム・ノグチ設計の公園です。友人たちが何度も訪れていて話も写真もたくさん聞いて見ていたんだけど、自分の中であまりピンと来てなかったんです。なんだか造形され過ぎているというか。。。
バスの時間を調べたりするのも億劫になりかかってたりして。。。そしたら社長がバスの時刻表をくれたので、雨が降りそうな日でしたが出かけられました。ありがたや~。

結果としてはモエレ山に登って公園を見て、やっとピンと来た!これは行かなきゃわからない。
最初は自転車で走り回って、噴水アートを見たり、小さい方の山に登ったり、遊具で遊んだり(ブランコも滑り台もやった)して、それでもまだピンと来てなかった。
それからガラスのピラミッドに入って展示を見ました。そこにノグチの言葉が展示されており、「地球を彫りたい」という言葉を見つけたのです。この一言で全部が繋がった。この公園全部が1つの作品なのか!
それで、最後まで躊躇してたモエレ山登りに向かえました。山頂からの景色、確かに地球が彫ってあった。行って良かったです。

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by fumiko212 | 2016-11-06 08:49 | アート | Trackback | Comments(0)

アルテピアッツァ美唄

彫刻家 安田侃の作品を展示するための公園、アルテピアッツァ美唄に行ってきました。
私が安田侃を認識したのは、直島のベネッセアートミュージアムの作品でした。札幌から約1時間の場所にあるこの美唄という町は彼の出身地なのだそうです。東京では東京国際フォーラムや東京ミッドタウンに作品があります。
紅葉のベストシーズンを狙ったのですが、天候不順が続いた北海道の紅葉、今年は少し遅めのようです。カメラだとこのような染まり具合ですが、人間の目は見たいものを見たいように見る心の目というフィルタがあるのでもう少し染まっているように見えたりもしました。
まだ朝の冷気が残っていて、作品も芝生も朝露でしっとりと湿っていました。
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作品は広範囲に点在しており、中には「熊に注意!」の看板を横目に林の中に入っていかないと見られない作品もあります。びくびくしながらたどり着いた作品の周りにはいい気が流れていました。
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廃校になった小学校(現在は一部保育園になっている)にも作品が展示されています。小学校だったころの面影が残る中に展示されている小ぶりな作品のたたずまいはなかなか良いものでした。
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入場料は無料ですが、寄付の箱が置いてあります。
この後、付近にあった廃線鉄道の駅を見に行ったのですが、線路が取り除かれサイクリングロードになっていました。が、そのサイクリングロードも手入れができなくなったのかアスファルトが傷み、雑草でおおわれてしまい、立ち入り禁止となっていました。
アスファルトで舗装してもこうなのですから、アルテピアッツァ美唄の山道など、ひと夏手入れを怠れば、あっという間に人が入れなくなってしまうのでしょう。山の中の作品が忘れ去られてしまわないよう、もう少し寄付をすればよかったとちょっと反省しました。。。
札幌からだと電車と本数の少ないバスを乗り継ぐことになります。2人以上で運転ができる人がいるならレンタカーが良いかと思います。雪が積もったところもきっと素敵だと思います。
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by fumiko212 | 2016-10-29 08:44 | アート | Trackback | Comments(0)

びじゅチューン!を見よ!

笑点が終わって、次はベニシアさんだとチャンネルを変えたら、5分の歌の番組が始まってた。みんなの歌かと思ったら「びじゅチューン!」という番組で、太陽の塔が歌ってた!凄い説得力!なんだこれは!
こちらのサイトから動画で全曲見られます。私としてはやはり「ルソー5」が気に入りました。あの作品(眠れるジプシー)からこんな曲を作るとは!作詞、作曲、作画を全て手がけるのは井上涼さんという映像作家さん。歌っているのもこの方です。凄い人がいるものだ。
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by fumiko212 | 2015-03-15 21:54 | アート | Trackback | Comments(0)

ホイッスラー展

そろそろ確定申告のシーズンですが、そういえば源泉徴収票どうしたっけ?給料袋に入れて、その袋はどうしたっけ〜?と焦って探し回ったところ、ヨコハマトリエンナーレの時に買っておいたホイッスラー展の前売り券が出てきた。ひゃー!忘れるとこだったよ〜。
その翌日は仕事で横浜方面に用事があり、その後直帰できる日だったので、早速行ってきました。ラッキーだった〜。
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昨年のオルセー展で見た、ホイッスラーの母を描いた肖像画「灰色と黒のアレンジメント」で興味を持ったホイッスラー。その後、世田谷美術館のジャポニスム展でも少し作品を見て、今回まとめていろいろ見て、かなり気に入りました。人物画、風景画、ジャポニスムという分類の展示でしたが、やはり一番気に入ったのは人物画部門。ジャポニスム部門も面白かったけど私としては構図としてはやっぱり広重の方がグッとくる。

Facebookにアップしたところ、お友達が、行ったよ〜とコメントくださり、「フリックコレクションのでっかい肖像画は来てなくて残念」って書いてあって、行ったのにスルーしてたんだ〜、と過去の自分にがっかり。
検索してみると、今回の展覧会で、出品作ではないものの同じ人物をモデルにした版画作品の解説として画像付きで紹介されてた「肌色とピンクのシンフォニー」というのがフリックコレクションにあることが分かった。展覧会でフリックコレクション所蔵と見た時に、フィラデルフィアか〜と思ってた自分に再びがっかりしつつ、ニューヨークで見られるんだ!と知れて嬉しくなった。次回のニューヨークでは10年以上ぶりにフリックコレクションに行くこと決定〜。楽しみがまた増えた。
そう考えると、Metはだいたい毎回行ってるけど、MoMAは多分5年くらい、グッゲンハイムは10年以上経ってるかもしれない…。などと考え始めたらすっごい楽しみになってきた!
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by fumiko212 | 2015-02-18 23:52 | アート | Trackback(1) | Comments(1)

チューリヒ美術館展@国立新美術館

b0031055_21162164.jpg始まる前から楽しみにしていたチューリヒ展、これも先月中ごろでしたが行ってきました。
美術展に行くと、印象に残った作品に○をつけておくのですが、時間がたちすぎて何が印象に残ったかが思い出せない、、、すぐに書かないとダメですね。

サブタイトルに「印象派からシュルレアリスムまで」とある通り、1900年代前半の約50年間に起こった美術の潮流を網羅した出品作品は、これも宣伝文句にあった「すべてが代表作」、「スイスの審美眼」を感じる粒ぞろい。充実した美術鑑賞となりました。

一番衝撃を受けたのは、アンリ・ルソーによる肖像画「X氏の肖像(ピエール・ロティ)」。ルソーによる肖像画や自画像などの人物画は何点か見ていますが、これは今まで見た他の肖像画とは一線を画すものでした。顔の描き方はのちのキュビズムを彷彿とし(制作年は1906年でピカソの「アビニョンの娘」の1年前)、背景はモナリザを思い起こさせますが、1本だけ煙を吹いている4本の煙突、X氏左肩の後ろにひょろひょろと幹を伸ばす木立をなぜ描いたのか?手前の猫やすっと伸びた手の甲よりもそっちばかりが気になってしまった。全体を引き締める帽子とシャツの赤が素晴らしい。物販では1つとしてこの色を再現しているものはなかった。
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by fumiko212 | 2014-11-08 22:19 | アート | Trackback | Comments(0)

安西水丸地球の細道展@GAギャラリー

b0031055_2336422.jpg今年3月に急逝された画家の安西水丸さん。村上春樹さんの本の挿絵などが身近でしたが、執筆もされ、小説やエッセイ、それからスノードームのコレクション、そしてご本人のおしゃれな雰囲気など、どこをとっても好きな方でした。と言っても、常に活動をウォッチしていたわけではなく、たまに作品に触れると、あ、好きだな、と思うような存在でした。

現在、都内2か所で原画の展示が見られるそうで、そのうちの1つ、雑誌の連載の原画展のほうを見てきました。国内外を旅して、そのスケッチとエッセイがセットになっているのですが、スケッチのほうにもちょこちょことコメントがあって、エッセイなしでも楽しめました。

原画に添えて、ご愛用の日用品、シルクスクリーン作品が数点、そして亡くなった時に机上のあったというこの連載の書きかけの原稿の展示もありました。この原稿を見るのは最後の最後にしました。恐れていた通り、胸が締め付けられる思いでした。

スケッチの中で印象に残ったのは、画家アンリ・ルソーの生誕の地を訪ねた回のもの。
この展覧会に行く1週前にチューリヒ展でルソーの絵を見て、この人の天才ぶりを目の当たりにし、続けてタイミングよくBSで再放送されたルソーを描いたドキュメンタリー番組を見て、それからしばらくルソーの画集ばかり見ていた時でした。このドキュメンタリー番組で、ルソーがMoMAにある「眠れるジプシー」を描きあげたとき、出身地であるラヴァル市長に購入を直談判した末に断られたエピソードが紹介されていました。
ギャラリーでこの連載をまとめた本も置いてあり、購入はしなかったのですがこのルソーの回だけ立ち読み。(せこくてすいません。)安西さんはルソーが大好きだと書いてありました。うわー!うれしい!それを知った時の喜びったらなかったです。
いつかまたパリに行くことがあったら、遠足でラヴァルに行ってみようと思いました。

安西さんは灯台がお好きだったようで、旅先が海の近くだと灯台も訪ねています。ミニチュア灯台のコレクションもされていたそうです。階段が灯台の周りをぐるっと一周しているのが好きだ、と書いてあった灯台が連載のスケッチにあったのですが、その後、シルクスクリーンにその灯台が登場していました。この灯台と星の王子様のスノードームが並んで描かれているものです。確かに何とも好ましい雰囲気の灯台でした。

忙しい方だったはずなのに、旅のスケッチからはのんびりとした旅の足跡がたどれるようで、眺めているとゆったりとした気分になってきます。買うのは食べ物ばかり、その店を目指してせかせかと歩き回る自分の旅はなんて貧しいんだろうか、、、かわいいミニチュアの灯台一つ買って帰るような旅に心底あこがれながら、一生そういう旅はできないんだろうな、とこの先も安西さんにあこがれ続けるのだろうと思います。
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by fumiko212 | 2014-11-03 23:36 | アート | Trackback | Comments(0)

ウフィッツィ美術館展@東京都美術館

b0031055_21524615.jpg珍しく上野の美術館まで遠征しました。ウフィッツィ美術館展。
20代の中ごろにOL友達と2人で格安ツアーで廻ったイタリア9日間の旅の途中、ガイドさんに連れられて訪れました。印象派以降のものしか積極的に見ていなかった私が、毎日毎日宗教絵画を見続けた9日間。それ以降再び積極的に見ることはなかったけれど、久しぶりにそのようなものを見たくなって出かけてきました。
例によって前情報をほとんど得ずに見始めて、期待していたフィリッポ・リッピが小さな作品がわずか4点しかなかったのでちょっとがっかりしたのはありましたが、落ち着いてゆっくりと作品を見られたのはよかったです。フィリッポ・リッピの受胎告知のシーンに描かれたマリア様はやっぱり美しかった。
ニューヨークのメトロポリタン美術館などでもこの時代の絵画が多数展示されていますが、あのような巨大美術館に行くと、どうしても好きな近現代の作品中心に回ることになってしまうので、今回、日本語の解説を読みながらゆっくり見て回れたのはよい機会でした。

年代を見ると1600年代の作品が中心なのに、今塗り終わったかのような色の鮮やかさ。テンペラ画とかフレスコ画とはそういうものなんでしょうか?
そしてこういった作品をどんどん見ていると、画家がまだ半分職人のような位置づけで、絵画は教会や邸宅の室内装飾として存在していた時代であったことが実感されます。題材は聖書のシーンに限定されるという制約の中で、今までなかった構図や、受難を暗示させる小道具を盛り込むなど、画家の工夫やオリジナリティを発揮し、やがて名声が高まる。それが200年かけて印象派の画家たちが屋外に飛び出して自然光の下で風景や家族などの身近な人々、ある人は娼婦まで描くようになった。その時代に生きていたら、その1つ1つがびっくりするような衝撃だったのだろうと想像できます。

あのハードなイタリア縦断ツアーを乗り切れたのは観光先で見学した教会や美術館の絵画作品に日々癒されていたからだったのかもしれない。
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by fumiko212 | 2014-11-03 21:16 | アート | Trackback | Comments(0)

甲府でミレー展

大阪の話で勢いづいたので、その前の週の話も。
お盆休みは1泊で八ヶ岳まで。甲府で寄り道してミレー展を観てきました。
今年は誕生200年のミレーイヤーということで、ボストン美術館からも作品が来るようですね。
山梨県立美術館はミレーの作品を多く所蔵していることで知られていますので、私はこちらの展覧会を選びました。
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企画展では所蔵作品以外のものを、そして所蔵作品は常設展示エリアで鑑賞しました。
ミレーといえばゴッホが模写している農民を描いた作品が有名ですが、肖像画家の時代も長く、数多くの作品が展示されていました。
個人的な感想ですが、常設展示にあった作品の方が印象に残っています。

美術館には広い庭があり、彫刻作品が点在していました。オーヴェール・シュル・オワーズにあった、ザッキン作のゴッホ像がありました。
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ミレーのレリーフも。ちなみに右の人がミレーさん。左は同じくバルビゾン派の画家、テオドール・ルソー。
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現代作家のものらしき作品も点在していました。
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お昼は美術館のレストランでオムライス。この辺りの美味しい卵なのだとか。
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ここまで、かなり渋滞にはまってサービスエリアにも入れずヘトヘトだったのですが、気を取り直して次の目的地にGO!

つづく
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by fumiko212 | 2014-09-19 19:33 | アート | Trackback | Comments(1)

ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展@世田谷美術館

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いつでも行けると思うとなかなか行かない世田谷美術館。今回も会期終了間際に行くことになってしまいました。砧公園の蚊は大丈夫だよね?当然ですが、夕方終了1時間半前に行ったけど大混雑。失敗した。

メインビジュアルになってるモネの「ラ・ジャポネーズ」とゴッホの「ルーラン夫人」が来ていることくらいしか知らずに出かけましたが、浮世絵を中心とした日本美術とそれらに影響を受けた西洋の画家の作品が交互に展示されている展覧会でした。
最初、人の多さに圧倒されたのですが、全体的に人の流れが滞っているのは浮世絵作品の前で、西洋画家の作品は比較的見やすい環境。自分が見始めると、何となくそうなる理由がわかってきました。ボストン美術館の所蔵する浮世絵作品は保存状態が良いことで有名なのだと思いますが、確かに、どれも色や線が鮮やか。ついつい、着物の模様、髪の毛の繊細な線、など隅々まで食い入るように眺めてしまいます。そしてその横の油絵を観る、とどうしてもさっきの浮世絵をもう一度観たくなる。

そうやって進んでいくうちに、はっとした1対の展示がありました。
喜多川歌麿「母子図たらい遊び」とメアリー・スティーヴンソン・カサット「湯浴み」を並べた展示です。カサットという画家はよく知らないのですが、解説によると、母子の日常を描くという題材や構図を浮世絵に習ったということだったと記憶しています。先日行ったオルセー展に展示されていたモリゾの「ゆりかご」の解説にも、あの時代では家庭内の何気ない日常風景を描くことが新鮮だったと書いてありました。
一度は納得してこの2枚の作品の前を立ち去ろうとしたのですが、その時に、歌麿の「深川の雪」が発見されたときに見たTV番組を思い出しました。寛政の改革の時代、美人画などで一世を風靡していた歌麿をはじめとした浮世絵は華美なものとして再三取締りの対象となっていました。そんな中、歌麿は何かを禁止されたら別の方法を取りながら、美人画を描き続けます。その末にたどり着いたのが、子供を描き込むことで美人画を道徳的な作品として流通させるという方法だったのです。母子図は単なる新鮮な題材でも、家庭内の親密な日常風景を描くものでもなく、なんとしてでも美人画を世に出し続ける執念と体制への抵抗の表現だったのです。歌麿はこの作品を描いた翌年、ついに手ぐさり50日の刑を追うことになります。その話を思い出しながら2枚の絵を見比べると、どうしたって歌麿の描く母親には何とも言えぬ色気と凄味があるように見えてくる。デュフィ展やオルセー展で、セザンヌに影響を受けて描かれた別の画家の作品が何とも中途半端な印象だったことも同時に思い出していました。
後半の展示にあった、広重の江戸名所百景 神田明神とムンクの作品の対比も、広重の思い切りの良さを観た後だとムンクは何がしたかったのかあまりよくわからない感じ。
とはいえ、西洋画家作品がどれも中途半端ということではなく、たとえば、モネの「積みわら」は私の今回の一番と言ってもいいくらい、いつまでも眺めていたい、まぶしさに目を細めてしまうような1枚でした。
それから、先日のオルセー展で印象に残っていたホイッスラーの作品も見られました。
先に展覧会を観ていた友人から素敵だったと聞いていたピサロの雪景色の作品、私は別の視点から印象に残っています。すっきりとした木立の下の部分は枯葉の残った藪が描かれているのですが、そこだけをじっと見ていると、まるでポロックのドリップアートのように見えるのです。ポロックはもしかして印象派の作品からあのアイデアを得たのでは?と思えてきました。その視線でモネの睡蓮観ると、やっぱり同じようにドリップアートのように見えてくる。すぐれた芸術表現は、そうやって次の時代の芸術家に受け継がれつつ発展していくものなのかもしれない、と勝手に納得して鑑賞を終えました。

きっと展示されていたはずの常設のルソーも、ラ・ジャポネーズの顔出し看板もコスプレも体験できず、もろもろ心残りはありますが、この展覧会を見逃さないでよかった。展覧会はこの後、京都、名古屋に巡回するそうです。
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by fumiko212 | 2014-09-15 21:23 | アート | Trackback(1) | Comments(1)