「ベルリンフィル 最高のハーモニーを求めて」

b0031055_2051051.jpgベルリン・フィルが熱い!企画(勝手に命名)として、映画「ベルリンフィル 最高のハーモニーを求めて」を見てきました。
2005年に行われた、ベルリン・フィルのアジアツアーを取材したドキュメンタリーフィルム。
北京→ソウル→上海→香港→台北→東京の6都市を旅する楽団をカメラが追いかけ、リハーサル、コンサートとその舞台裏、オフの日の楽団員の素顔などのシーンの合間にラトルと楽団員達へのインタビューがおりまぜられています。

オープニングは北京でのリハーサル風景からでした。リハーサルが始まる時間になっても団員が揃っていなかったりして、バタバタとリハーサルが始まるのですが、演奏会では見られないプレイヤーの素の表情に、グッと親しみがわきました。

リハーサルでは、トーマス・アデスという作家の「アサイラ」という曲を練習しているシーンが何度か出てくるのですが、これがわけのわからない難曲みたいで、曲を中断しては団員からも意見が飛び交っていました。
まとまったフレーズの演奏シーンは1度もなかったので、一体どんな曲なんだろう?と興味がわき、ググってみました。
トーマス・アデスはなんとまだ30代(私と同い年だった!)のイギリスの作曲家で、「アサイラ」は彼がまだ20代だった97年にラトル指揮のバーミンガム市交響楽団によって初演された作品ということで、ラトルが世に送り出した曲だったのですね。2002年9月にはラトルのベルリン・フィル芸術監督正式就任を記念したコンサートでも演奏され、そのコンサートはDVDで発売されていました。聴いてみたい!
この曲に限らずだったと思うのですが、ラトルが指示を与えるだけではなく、団員からもあれこれ意見が出てくるようなリハーサル風景は、ラトルと団員の信頼関係の表れなのかな、と思いました。いいですね。

楽団員へのインタビューでは、世界最高のオーケストラの一員であり続けることのプレッシャーであったり、伝統を受け継ぎ伝えることへの責任であったり、子供の頃は一人ぼっちで楽器を演奏することで自由になれたなんていう話もあって、自信と誇りに満ち溢れている人々の集まりだと思っていた彼らも普通の感情を持った人たちなんだな、と共感する部分が多かったです。あるプレイヤーが「最初は苦しいだろうけれど、何年かすれば楽になると思っていたけど間違いだった。年々厳しくなっていく。」というようなことを言っていたのですが、これもすごく共感。何事にしても年を経れば楽になることってないですもんね。

そしてもっとも心に残った一言。それは、たくさんのプレッシャーや孤独感について語られた後にある団員が言った言葉です。「演奏で最高のハーモニーを作れたときは、今、この瞬間に死なせてくれ、って思う。」
ああ、オーケストラって素敵だな。本当に羨ましかったです。大きな苦しみの中から生まれた喜びはどんなに大きいだろう。スポーツでも何でもそうですが、やっぱり見てる(聴いてる)側よりやってる側、ですよね。やりたがりの血が騒ぎ出してしまいました。楽器始めたい!

b0031055_2053635.jpg台北での演奏会の後、熱狂的な観衆から大歓声を浴びるラトルと団員達の表情がとても素敵でした。ある団員が「普段、こんな熱狂的な歓迎を受けることに慣れていないから、興奮したよ!」と嬉しそうに語っていました。その後の東京公演がおまけになってしまった感じでしたから。

映画を見終わって、ベルリン・フィルに益々熱くなってしまいました。いつか彼らの演奏をライブで聴いてみたいです。やっぱり、ラトル指揮で聴きたいですねー。



----

クラシック・マニアだった父は、フルトヴェングラーが好きで、父がいつもレコードを聴いている部屋にはフルベンのポートレートが飾ってあった。だから、きっとベルリン・フィルのことも好きだったと思う。CDやレコードも何枚もあるし。
もし父が生きていたら、一緒にこの映画を見に行ったのかなー?今、生きていてくれたらいろいろ教えてもらったり、語り合えたりしたのになー、と思うととても残念だ。もしかしたら親孝行して一緒にベルリンまで聴きに行けたかもしれない。これから先、ベルリン・フィルを聴きに行くことがあったら、父の写真を持っていこうと思う。
[PR]
by fumiko212 | 2008-11-26 21:09 | 映画・舞台・ドラマ | Trackback(1) | Comments(2)
トラックバックURL : http://fumiko212.exblog.jp/tb/9937247
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from What's up, L.. at 2008-11-27 00:03
タイトル : 「ベルリンフィル 最高のハーモニーを求めて」
「秋に見たい映画」の1本、「ベルリンフィル 最高のハーモニーを求めて」を見て来ました。原題は「Trip to Asia」、文字通り北京、上海、ソウル、台北、香港、東京へのアジアツアーを行うベルリン・フィルのドキュメンタリーです。ツアーの開始直前のオーディション風景から映画は始まり、数名の試用期間の団員と共にアジアを旅する楽団員の姿がインタビューと共に描かれます。印象的だったのが、世界のトップに君臨するBPOのメンバ−でも、入団前は一人一人はとても孤独で疎外感に苦しんでいたということ。入団して初めて自分...... more
Commented by さちえ at 2008-11-26 23:53 x
「アサイラ」本当にわかんない曲でしたねー(笑)
弦とパーカッションのリズムが違うんだもん。
リハのシーンでコンマス安永さんがうまく弾けてうれしそうにガッツポーズするシーンが微笑ましかったです。
フルベンのポートレートを飾るお父様、素敵な方だったんですねー
BPOの時は絶対写真で一緒に連れてってあげてください。
きっとお喜びになりますよ。
Commented by fumiko212 at 2008-11-27 20:20
さちえさん
TBありがとうございます!
>リハのシーンでコンマス安永さんがうまく弾けてうれしそうにガッツポーズ
で、パーカッションの人は絶対譲らないって顔してリズム刻んでましたよねー。ベルリンフィルのプレイヤーがあんなに必死になるなんてー。
全体を聴くと一体どんな曲に、というか曲に聞こえるんでしょうか?って思っちゃいますよね。
父はフルベンのポートレートを飾りつつ、仲道さんの追っかけもしていたような人ですからねー。根がミーハーで、私はそこを受け継いでいるんだなーと思います。


<< NHK+IDサービス 「グッドナイトスリイプタイト」... >>