Kuniko Plays Reich in Senzoku

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2月9日に洗足学園内講堂で行われたパーカッショニスト加藤訓子さんのコンサートに行ってきました。
マリンバ、スチールドラムなど複数の打楽器(マリンバ様の楽器の種類と名称がわからなくてザックリとした書き方ですいません。)とご自身の演奏をサンプリングした音源が流れる10台のスピーカーとが共演するステージ。プログラムはスティーブ・ライヒの楽曲を加藤さんが編曲したものを中心に構成されています。

私がスティーブ・ライヒという作曲家の名を知ったのは最近のことで、最初に聞いたのは昨年の夏頃。それから立て続けに2回ほど別々のところから名前を聞き…。そういうときはなにがしかの縁があるもので、聴いておくべきなのです。12月に本人が来日するコンサートをと思ったんだけど既に下のクラスの席は完売。S席高いな〜と躊躇する間に時は過ぎ…、今年に入ってから見つけたのがこのコンサートでした。

加藤訓子さんを知ったのも去年の12月のことで、テレビでのインタビューとその演奏を少しだけ聞いて興味を持ちました。彼女はスティーブ・ライヒに唯一自身の楽曲の編曲を許されたミュージシャンなのだそうです。かつて彼の記譜の誤りを発見したこともあるのだとか。まだ面識の浅かった(なかった、だったかな?)頃にもかかわらず本人に伝えたところ、Congratulations.よく気づいたね、と言われ、その後の出版からは訂正されたのだとか。すごい話ですよね。

そんな風に楽しみにしていた反面、打楽器だけでコンテンポラリーミュージック、これはハードル高そうだという心配も。最初にスティーブ・ライヒを教えてくれたチェロの先生が、もし興味あったらYouTubeで聴いてみたら?とおっしゃるので通勤電車の中で聴き始めたところ、単純なリズムのループに秒殺で寝落ち。どうなることやら…。

結果ですが、寝落ちどころか最初から最後まで惹きつけられっぱなし、ドキドキしっぱなしの1時間半でした。今までこれほどまでに生音とスピーカーで聴こえ方が違う楽器に出会ってなかった。音というのは空気の振動である、というのを全身で実感。最初の音でぶわわわーっと全身に鳥肌。結局曲が終わるまで鳥肌立ちっぱなしでした。(1曲目はバッハ。マリンバなのにある瞬間はパイプオルガンのようにも聴こえた。)インタビューで彼女が、中学の頃初めてマリンバの音を聴いた瞬間にこの楽器を弾きたいと決意した、と言っていたのを思い出した。きっと彼女が聴いたのもこんな音だったんだろう。

マリンバというのは不思議な楽器だ。彼女の卓越した演奏技術の成せる技なのだろうが、マレットの選択や叩き方で音がまるっきり変わってしまう。演奏されている曲は確かにYouTubeで聴いたあの感じなのに印象は全く異なる。シンプルなライティングに照らされ踊るように演奏する彼女の姿、無機質な10台のスピーカーとその影、空間に満たされる音の波動が段々と密度を増して行き息苦しさを感じるほどだった。ただ音楽を聴いているのではなく、インスタレーション作品の中に入っているような感覚。この感覚、一昨年のベルリンフィルで細川俊夫さんの作品を聴いた時にもあった。優れた現代の音楽作品はこういう感覚をもたらすものなのかもしれない。だとしたら、既に行き詰まっていると思っていた音楽の世界はまだまだ新しい可能性が沢山詰まっている世界なのかも。一昔前のコンテンポラリーって、不快とか奇抜、難解こそが新しいみたいなところがあったけれど、洗練された感覚があればその先のもっと研ぎ澄まされた新しさ、凝縮された美を提示できるんだ。そして優れた音楽作品は優れた演奏家、真にその楽曲を理解したものに演奏されて本来の美を開花させるものなのだ。これから先も想像もつかないような新しいものに出会える希望みたいなものを受け取った気がして、なんだか嬉しくなった。

スティーブ・ライヒの楽曲についていえば、やはり最後に演奏されたNew York Counterpointが心に残った。なぜかリバーサイドパークの風景が思い浮かんだ。川の輝きとリバーサイドドライブからかすかに聞こえてくる車のエンジン音、すぐそこにあの街の喧騒があるはずなのにここはあくまでも静か、そんな感覚。聴き終わって、最初のバッハにまた繋がっていくような感じも心地よくて。

この場にいられたことを音楽の神様に感謝せずにはいられない、本当に素晴らしいコンサートだった。
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by fumiko212 | 2013-02-12 00:47 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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