ベルリンフィル12人のチェリストたち@サントリーホール

日曜日に2年ぶりの12人のチェリストたちの演奏会を聴いてきました。今回も期待以上に感動の時間を過ごすことができました。
今回は2階席センターの中段辺りで室内楽を聴くには少し遠すぎるかな、という距離感だったのですが、1曲目の最初の音でいきない涙腺決壊。自分がチェロが好きすぎてどうにかなっているのかと思うほど感動してしまいました。
最初に「今回は40周年の記念のコンサートではありますが、その前に、昨年の震災犠牲者にささげるために1曲目にこの曲をプログラムしました。」とスピーチがありヴェルディのアヴェ・マリアが演奏されました。
1つ1つの楽器から音が出ているというのを感じさせないような、たとえるなら朝一番に真新しい花のつぼみが音もなく開いてあたりに香りが広がるように音がホールいっぱいに満ちていくような演奏。追悼の音楽だったのもあると思うのですが、静かな水面に蓮の花が開いたように感じました。どうしてこんな演奏ができるんだろうか。オーケストラでもソリストでも表現できない、こんな音楽表現ができるアンサンブルは世界に2つとないだろうなあ、、、と、もう胸がいっぱいで。きっと、これがサントリーホールの素晴らしさでもあるのかもしれないです。

今回のプログラムは1部と2部の前半で、12人のチェリスト結成当時から演奏されていた曲が演奏されました。CDでも聞いたことのない曲ばかりだったのですが、1部で演奏された12人のチェリストたちのために作曲されたというボリス・ブラッヒャー作曲「12の独奏チェロのためのブルース、エスパニョーラ、ルンバ・フィルハーモニカ」という曲、それから12人のチェリストたちが発足するきっかけとなった曲というユリウス・クレンゲル作曲「12のチェロのための<讃歌>作品57」、どちらも素晴らしかったです。曲としても演奏も。
ブラッヒャーの曲はアヴェ・マリアとは対照的に12のチェロ、それぞれの音色が際立つような演奏。ピチカートや弦を弓でたたいたりボディを叩いたりとチェロで出せるあらゆる音が聞こえてきます。緊張感がピンと張りつめたエキサイティングな曲だった。現代音楽を聴いているときに私が陥りがちな、この曲どのくらい続いてたっけ?となりそうな曲でもあるのですが、演奏が素晴らしいので最後まで変化に富んだ曲の世界に引き込まれました。どのくらい続いてた?となるのは曲のせいではなく、演奏者のせいであることも結構多いので、やっぱり現代音楽はうまい人で聴くに限るなあというのも再確認。
2部の1曲目だった<讃歌>は夜明けを連想させるような導入が素晴らしかった。クレンゲルはニキシュ、フルトヴェングラー時代に活躍したチェリストでもあったそうで、チェロへの愛があふれている曲でした。
休憩時間に大混乱のCD売り場で店員さんを捕まえて、ブラッヒャーの曲が入っているCDがないかを尋ねたところ、現在のメンバーでは出ていないけれど古い輸入盤であるとのこと。初めて見るCDでした。外側からは収録曲もわからない状態だったのですが、帰りにライナーを見てみたらクレンゲルの讃歌もほかに演奏されたダヴィッド・フンクの組曲も入ってる!いい買い物ができました。

2部の後半はポピュラーソング中心のプログラム。この前の「題名のない音楽会」に若きチェリスト宮田大さんが出演して「チェロは歌う」という特集をしていましたが、チェロは美しいメロディラインを持ったポピュラーソングを演奏するのにも適した楽器なのです。特に印象に残っているのはビートルズのミシェル。知っているメロディなんだけど、改めてポール・マッカートニーのメロディメーカーとしての才能が存分に発揮されている曲なんだということを感じました。(クレジットはレノン、マッカートニーだけど、確かミシェルはポールなんですよね?)などとウザく語るまでもなく、とにかくグッとくるメロディなんですよね。それをチェロで演奏した日にはもう、、、グッとくるの3乗くらいググッときました。この曲、ヤマハの教則本に入ってくれたらいいのになあ。あ、ただ、一つだけ不満だったのはこの曲のイントロはやっぱりピチカートにすべきでしょう!ということ。ちなみに編曲は三枝成彰氏(彼と作ったCDも出ているそうな、、、)。ビートルズはそれこそいろんな人が無数のアレンジで演奏していますけど、オリジナルに忠実なのが正解だと思ってしまう。

アンコールではピアソラのタンゴや昨年のベルリン・フィルのファミリーコンサートでも演奏されていた「ピンクパンサーのテーマ」など。客席から笑いが漏れるような楽しい演奏でした。アンコールのラストは滝廉太郎作曲「荒城の月」でした。「題名のない音楽会」でも宮田さんが独奏され、それも素晴らしかったのですが、12人による演奏はまた違った美しさがありました。このメロディも先ほど書いたミシェルと同様にグッとくる。いや、グッとくるとはもう少し違う、もっと心の奥底に語りかけてくるようなメロディ。これは好き嫌いを超越した日本人にとっての永遠のソウルミュージックだと思いました。
特にコメントはありませんでしたが、2年前と同じくステージ脇の席で鑑賞されていた天皇皇后両陛下にささげられた演奏だったのだと思います。この曲の美しさを12人のチェリストも感じ取って演奏してくれているのが嬉しく、コンサートの最後にまたじわっと涙が出ました。
実はこの曲、チェロを習い始めて最初に習う2つのポジションだけで弾ける曲ということでテキストの最初の方に出ている曲なのです。宮田さんの演奏はまさにこのポジションだったので、あれを聴いてから練習のたびに私も弾いていました。日本人の心のどこも揺さぶらないヘボ演奏ですが、、、それでも何となく弾くことがうれしい曲なのです。

横道にそれつつ書いてきましたが、最後に、Youtubeにアップされた「アヴェ・マリア」の演奏をシェアします。コンサートの演奏ではなく、きっと開演前に録画されたものだと思います。この演奏が12人のチェリストのYoutubeチャンネルの最初の動画となったそうです。できればPCのスピーカーではなくちゃんとしたスピーカーで聴くことをおすすめします。


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by fumiko212 | 2012-07-04 02:31 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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