推定50年の歴史を閉じた出来事

以前にこのブログに少し書いたことがあるのですが、今シーズンで父の代から引き継いでいたN響定期会員を退会しました。
私が物心ついたころには父が席を持っており、母の話では結婚前の父は兵庫に赴任していた時期があり、多分そこから東京に戻ったころから会員だったのではないかとのこと。となると、おおむね50年程前だったのではないかと思います。(その頃から定期会員制度があれば、ですが。)
父が現役だったころはS席を2枚(母は結婚以来約15年間は介護と子育てに明け暮れ、父も静岡にいた時期がかなり長かったので、席を持ち続けるためにかなりの枚数のチケットが無駄になったと思われます。いつか母と2人で聴きに行けるようになる日のために2枚買っていたのだと思われます。)、セミリタイアと同時に3階席に場所を移して2席、父の死後1席に減らして細々と会員を続けてきました。D席の年会費は26000円程度で、決して払えない金額というわけではないのですが、父の死後13年の月日が流れ、母は2時間座席に座り続けることが困難になり始めているということもあり、今シーズンでピリオドを打つことにしました。
最後の定期演奏会は先週の土曜日でした。ロシアの作曲家の曲をそろえたプログラムで、その中の1曲、チャイコフスキーの交響曲第4番は先日ニューヨークフィルの演奏を聴いたばかりの曲でしたので、私が聴きに行くことにしました。

1曲目はリムスキー・コルサコフ 組曲「サルタン皇帝の物語」という曲。指揮のアシュケナージさんは客席の拍手が鳴り終わるか終らないかの内に振り始めるのですね。スネアドラムとトランペットのファンファーレで始まるこの曲をそんなにいきなり振るものだから、一瞬ばらついてしまったような感じがしました。そんな少し不安定な状態で導入部が終わり、弦楽が細かくリズムを奏でる部分に入ると、その不安定感が瞬時にぴたりと収まりました。これがN響の力なのだと実感。

2曲目はグリエールというソビエト時代の作曲家によるホルン協奏曲。昨年のベルリン・フィルに続きホルン協奏曲を聴くチャンスに恵まれました。金管楽器に分類されながらも、音はむしろ木管楽器に近く、木管五重奏に加わることもあるホルン。けれど、トランペットやトロンボーン以上に金管らしいギラギラした音も出るこの楽器は、協奏曲でソロを担当するのにすごく向いている楽器なのかもしれない、というのも去年知ったことでした。ソリストの演奏もそれを支えるオーケストラも素晴らしく息の合った演奏だったように思いました。オーケストラの中でソロを担当する木管楽器のソリストもそれぞれ素晴らしい。特にクラリネット!良かったなー。つくづく私の耳はまろやかな音が好きなのだなあ。

後半はチャイコフスキーの4番。ニューヨーク・フィルで聴いた時の印象がまだはっきり残っていたので、聴き比べも楽しめました。N響はとっても端正なイメージ。ロシア貴族(がどういうものかよくわからないけど)なイメージ。NYフィルはもっとギラギラした感じだったかなー?どっちかを選ぶとしたらN響が好きかもなーと思いました。日本人の私にしっくりくるのはこっちだなと。NYフィルの時は2楽章の終わりだったかですでに大拍手だったりして、とにかくはじけまくってた印象があります。あの場ではあれがすごく良かったんだった。あの時は私の気持ちもアメリカ人だったってことで。笑
なんというか、N響は寡黙なマスターがハンドドリップで淹れたコーヒーで、NYフィルはでっかいマシンで蒸気で一気に抽出したコーヒーみたいな。(なんだそのたとえは?)どっちがいいとかでなく、どっちもおいしいし、どっちを飲みたいと思うかもその時によって違う。それはオーケストラの違いなのか、アシュケナージさんとアランの違いなのかも不明だけど。
あ、これもどうでもいい話ですが、問題の第3楽章(楽章通して弦楽はピチカートのみ)、N響は皆さん弓を置いて演奏していました。(NYフィルは弓を持ったまま演奏。)弓を譜面台に置いている人もいれば膝の上に置いている人もいて、なにかの拍子にバタン!と落ちないのか?とか松脂で服が汚れないのか?とか気になってしまった。

いい演奏だったのだけれど、1つだけどうしても気になったのがトライアングル。なんか遅れていくんだよなー。そう思って帰りに団員リストを見ていたら、パーカッションは男性の名前が2人。トライアングルは女性が担当していたからきっとエキストラだったのですね。親戚に別のオーケストラの団員の方がいるのですが、「最近は正団員を採らずにエキストラばかり増えるから演奏がまとまらなくて困る。」とおっしゃっていたことを思い出しました。
クラリネットとファゴットのソロは本当に素晴らしくて、N響の木管チームのアンサンブルがあったら聴いてみたい。

こうして、私にとっての最後の定期演奏会は幕を閉じ、私は名残惜しさに会場を出るときにもう一度ステージを振り返って心の中で「ありがとう」とつぶやいていました。最後の最後に、N響って素敵な演奏をするオーケストラだな、としみじみと実感しました。

来シーズンからはAプロの枠にとらわれず、3つくらい演奏会をピックアップしてチケットを買えたらいいな。NYフィルみたくCriate3+みたいなチケットの買い方ができたらいいのに。(シーズン中に3つ以上のコンサートのチケットを買うと割引がある。)
休憩時間に「フィルハーモニー」を見ながら選んだ3本は、10月のB、12月のB、1月のA、次点で5月のB。5月のAのチューバ協奏曲っていうのも気になる!これからN響との新たなお付き合いが始まるのだ。
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by fumiko212 | 2012-06-12 01:06 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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