Road to YAMAHA HALL

8月某日、チェロを習い始めて2年と4ヶ月経ったこのタイミングで、はじめてのホールでの発表会に参加しました。スクールの広い部屋でのプライベート発表会(同じ先生に習っている生徒同士で発表しあう)のようなものは1度あったのですが、ピアノの伴奏がついて家族にも聴きに来てもらって、という発表会ははじめて。しかも、会場は新しくなったばかりの銀座ヤマハホール。あの小曽根さんもコンサートをされたホールですよっ!これは鼻息荒くなるってモンです。さらに、先生の方針では今回が最初で最後になりそうな気配だったので、これはもうヤマハホールで演奏することを思う存分に堪能する発表会にせねば!と自分の中ではかなり気合が入っていました。

8月に入ってすぐの発表会だったのですが、曲が与えられたのは5月の連休明け。できれば連休前にもらって連休中にたっぷり練習したかったなー、などと思ったものですが、後から思えば連休中に練習する余裕はなかったので結果オーライ(なのか?)ということで、3ヶ月で人様に聴いてもらうに耐える演奏に仕上げなくてはならないということになりました。とはいっても私たちは4人で同じ旋律を演奏するので、4人で演奏したときに聴くに堪えればOK。本当に心強いですが、やはりそうは言っても1/4の責任を果たさねばなりません。

先生が選んでくださった楽曲はヘンデルの「ラルゴ」。原曲はオペラのアリア(「セルセ」という作品中の「オンブラ・マイ・フ」とも呼ばれている曲です。)で、まあ有名な曲です。が、私は最初聴いたときにえーっと知らない曲?などと思ってました。おっそろしいことにその日の朝の「題名のない音楽会」で聴いた曲なのに、一致していなかった。家でギクシャクと楽譜をさらっていると、母に「オン・ブラ・マイフ」演るの?と言われて、あ、そうだよね、その曲だよねこれ、と気付きました。あー、悲しいド素人。

それまでの私の練習頻度は、まあ、チェロがすきー!と言いながらも1回30分(それ以上つづけると股関節や右腰の辺りが限界で整体に通わずには続けられなくなるという体たらく)、週に多くて2回というかなり恥ずかしいもの。でも、この3ヶ月は早く帰った日は短時間でも毎日練習するぞ、そして平日には最低限の予定しか入れないぞ(元々予定なんてあまりない生活ですから、この点は苦労しませんでしたが。)と心に誓いました。毎日というのは自分でも無理だろうと思っていましたが、それでもレッスンがない週6日の内、平均週4回は楽器を取り出したように思います。(いや、3回の週もあったかなー。汗)

指の力が足りなかったり指が開かなかったり思うように指が動かないことによる弾けない場所というのはなさそうなのですが、ポジション移動が頻繁にあって音が正確に取れないのと、ロングトーンで弓が足りなかったり音がゆれてしまったりと弓の扱いが厳しい箇所が非常に多いというのが弾き始めたときの印象でした。
それと、同じメロディを2回繰り返すのですが、なぜか弓順(ボウイングというのかな?)が変わる場所があって、そこは絶対に間違えそうだし2回目の弓順だと伸ばすところで弓が足りない感じになりやすかったり、そんなことにも行き当たりバッタリに困っていました。

それから、まだ音階くらいしか弾けなかった頃に買った自分の楽器、音が気に入って買ったつもりだったけどレッスンが進むにつれてどうにもこうにも弾きにくく、本番では自分の楽器を使わなくてはならないというのが大きなプレッシャーでした。
できないのを楽器のせいにするのはナンですが、買ってから一度も変えていない弓の毛というか松脂の感じもなんだか調子が悪いような気がしてきます。先生に質問したら替えたほうがいいとのこと。それならと替える気満々だったのですが、なんかグズグズしているうちに本番がどんどん迫ってきて、今更毛替えして弓の感じがすごく替わっちゃったらかえって弾きにくいかも、という心配も出てきて、結局そのままに。練習頻度が増えてくると益々弓の感じが気になって、、、という悪循環。さっさと替えておけばよかった。。。

そんなこんなで瞬くように時は過ぎ、本番1週間前のリハーサルの日がやってきました。リハーサルはホールでは行わず、スクールの大きな部屋で行います。いつもはスクールの楽器を借りてレッスンを受けていますが、この日は自分の楽器持参。
楽器に関する心配事の1つの弾きにくさはこの頃には少し解消されていました。思うに、家での練習時間が増えたことにより、スクールの楽器よりも自分の楽器を弾く時間が長くなったというのが主な理由だと思います。いかにそれまでの練習量が少なかったかということです。
そういう意味では、自分の楽器と仲良くなれたのが今回の発表会の成果の一つかもしれません。

この時はじめてピアノの先生の伴奏に合わせて演奏しました。1回目は入りどころも最初の音の拍数も4人とも取れずに大崩壊。ピアノの先生のフォローで何とか最後まで通して演奏しましたが、全員真っ青。さらには私は個人的に恐ろしく緊張してしまい手が震えているのです。その自分の緊張しっぷりに益々緊張。
先生にアドバイスを受けてもう一度通しました。そのときには何とか見失わずに演奏できましたが、なんとなくおっかなびっくりでした。2回通したら時間切れで教室から出てみんなで当日の打ち合わせ。服装やら、楽譜を確認しあって入るタイミングを再度確認し、今日の録音音源を皆さんにメールすると約束して解散しました。

そこからの最後の1週間の練習は気合が入りました。今思えばリハーサルが1週間前で本当に良かった。録音した先生の伴奏に合わせてひたすら練習。とりあえず入りどころでの事故は起こらないだろうという気持ちで当日を迎えました。そうそう、この最後の1週間では、それまで行き当たりバッタリに弓が足りなくなっていたところを自分なりに楽譜に書き込んで、その手前の弓を使う量を調節したりもするようになりました。まったく気付くのが遅いです。この1週間は体調管理も結構気を使いました。とにかく早寝!目標1日8時間睡眠!もう、判で押したように規則正しく過ごしました。

当日は、出番前にチューニング室で先生がチューニングをチェックしてくださり、音出し室という部屋を6分間使用できるとのことでした。それまでのレッスンや自宅での練習で、その日の1回目の演奏は大概ボロボロになることに気付いていた私は、当日の一発目の演奏が本番というのは避けたいなと思っていました。リハーサルでもなんとなくそれが証明されたので、前日にみんなにメールをして、当日は音出し室で1回通して演奏しましょう、という作戦を立てました。そのため、私は伴奏の入ったiPhoneを持って本番のステージに行く事に。

当日は、自分たちの出番までバイオリンクラスの人たちの演奏を客席で聴きました。自分のことを棚に上げて書きますが、大人のクラスの発表会の演奏を聴く基本姿勢は「温かく見守る」というもの。上手なグループ(個人)もいらっしゃいますが、人によってはかなり破壊的な演奏をなさっていました。それを聴いていると、私たちの演奏も客席にはこんな風に音痴だったり破壊的に聴こえるのか?と自分の緊張もMAXに。そんな得体の知れない緊張感とともに出番が近づいたので楽器を取り出して控え室方面に向かいます。
先生の顔を見て少しホッとして緊張感がほぐれ、チューニングもバッチリしていただいて、予定通り音出し室でみんなでせーので演奏しました。そのとき、最初の音程が4人ともピタリと合っていたのです。なんだか鳥肌が立つほど感動しました。いつもの1回目とは打って変わって結構いい感じに弾けました。後から、この1週間、皆同じように気合を込めた練習をされたとおっしゃっていました。それが通じ合ってあのピタリと合った音が出たんだと思いました。

大きなエレベーターに乗ってステージ脇に移動。直前のグループの演奏が聴こえてきます。ヤバイ。こうやって人の演奏を効くと猛烈に緊張してくるのです。私は人前で話すのに緊張することはあまりなく、むしろマイクを持つと元気になるタイプ。なので、緊張に対する心構えが全然できていなかった。緊張していることに焦ります。リハーサルで手が震えたときも、本番はきっと元気になっちゃうんだろうな、程度に軽く考えてたけどとんでもなかった。

そうこうしているうちに前のグループの演奏が終わり、チェロのトップバッターだった私たちのために先生が椅子をセッティングしてくださり、楽器とともに入場です。そういえば、楽器と弓と楽譜をどうやって持って歩くのかとかも結構緊張の材料でした。退場後は客席に下りて階段を登らなければならず、エンドピンを伸ばしたままの楽器を持って転ばないかが一番の心配だったり。とりあえず滞りなく着席。もう、緊張で客席は一度も見られませんでした。ピアノの前奏が始まり、最初の音。またもや音程はピタリと合っています。でも自分の指を見ると弦を抑えていない指が小刻みに震えている。次の音でこの震えた指で弦を押さえられるのか?と焦ります。しかし、そんなことを考えていたのかどうかも思い出せません。曲はどんどん進み、あんなに先生のピアノとお互いの音を聴いて、と思っていたのに、自分の音しか聴こえてこなかった気がします。弦を抑えられないまま開放弦で音を出してしまったところがあったなーというのは覚えています。2回繰り返すメロディの1回目が終わって、ピアノの間奏を聴く間、深呼吸。さあ、後半は落ち着いて。と思っていたのにやっぱりメロメロ。あー、もう終わってしまう。最後のフレーズをffで繰り返すところがやってきました。先生からはどんなことがあってもここから入ること!と教わっていたことを思い出し、気合を入れなおしてその部分に突入しました。何とかこの部分は気持ちよく少し冷静にそしてしっかりと音を出せた気がしました。それもあって、終わった後は結構な満足感がありました。

今思うと、あの緊張さえなかったらもう少ししっかりと全体を弾けたんじゃないかと思います。緊張克服のために、ヨガでも始めようかと思ってますよ。もう、チェロを上手く弾く(というか練習の成果を存分に本番で出す)ためにできることなら何でもします。

無事本番が終わり、なんとなく満足感をかみ締めつつ、他の方たちの演奏を最後まで聴いて会場を後にしました。

聴きに来てくれた家族の反応はイマイチ(社交辞令的に良かったよと言ってくれたけど)でしたが、同じくヤマハで声楽を習っている伯母は、大人の教室の発表会の悲喜こもごもを十分に理解してくれているので、終わってすぐに「良かったよ~。」と褒めてくれました。

そうなんです。やっぱり大人の教室は音程の正確さや音の綺麗さ、テクニックの追求にはある程度限界があります。子供の頃に習っていればもっと綺麗な音や正確な音を出せるかもしれないけど、そういう環境には恵まれなかった。だけど大人になってからやりたい!という思いをここにぶつけている。習い始めるのだってすごく勇気がいったし。私たちは4人グループだったけど、2人で二重奏をしたり、同じグループの人が出演できなくなり急遽先生とデュオで出たり、という方もいて、その勇気にも感動します。
あるアンサンブルのグループでは、杖をついたご高齢の男性がスタッフの方に楽器を持ってもらって登場しました。椅子に座ってチェロを構え、堂々と演奏される姿にも胸が熱くなりました。

翌日のレッスンでは、先生から結構褒めていただき、レッスン後は軽くお茶会で打ち上げしましょうという予定が昼からビールの会になりいい感じに盛り上がりました。他のグループの演奏をいろいろ聴いて、われながら自画自賛でおめでたいとは思うけど、チェロという楽器、熱心にご指導してくださる先生、いい曲を選んでいただき、そしてメンバーにも恵まれ、本当に幸せだしついてたなーと思います。

今回の発表会は曲をいただいてからの3ヶ月を含め、いろいろな意味で実りの多い体験でした。一番の収穫は、チェロを弾くことが前よりももっと楽しくなったこと。明日のレッスンも楽しみです。
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by fumiko212 | 2011-08-27 23:46 | 音楽 | Trackback | Comments(2)
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Commented by MOMO at 2011-09-06 13:27 x
fumikoさん、ヤマハホールでの発表会、お疲れ様でした。
ドキドキ感、やり遂げた感が伝わり、右手に携帯、左手は拳を握り「fumikoさん、頑張って!」とエールを送っている自分がいました。ホールで応援したかったです(笑)
Commented by fumiko212 at 2011-09-08 00:35
MOMOさん
読んでくださってありがとうございます。そして時間差の応援も!
いやはや、あんなに緊張するとは…。当日の付き添いも含めて、辛抱強くご指導してくださった先生に改めて感謝です。最近のレッスンでは気が抜けまくってる私たちに「これ、ラルゴより易しいから。」としょっちゅうおっしゃってます。汗
頑張った分だけの達成感は味わえたように思うので、また次に向けて頑張ります。つくづく発表会って必要ですね。


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